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ダブリン市がスミスフィールドの2つの不動産を35,000ユーロで売却

 

 

アイリッシュ・タイムズに「ダブリン市役所が2つの不動産を35,000ユーロで売却」という記事が載っていて、35,000 ユーロ (約450万円) は安いなあと思いながら記事を読んでみたら、ウチの近所のスミスフィールドの話でした。

 

www.irishtimes.com

 

この2つの不動産は 1949 年にダブリン市が購入したもの。ノース・キング・ストリートを拡張する計画があって、そのために買収したのですが、道路の拡張は実現しないままとりやめになってしまいました。

 

 

1949年に購入したときに、道路拡張が決定した際はすぐに明け渡してもらうという約束で、元の所有者に 20 年契約でリース・バックしました。つまり、元の所有者はこの場所をそのまま使い続けたわけです。

 

 

ところが、なんらかの理由でリース契約が切れた1969年に市役所はこの不動産を返してもらうのを怠ったみたいなのです。

 

 

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2004 年になって市がこの不動産の権利を確認したところ、この不動産の裏に隣接した土地の所有者が、本来なら市が所有しているべき不動産をある自動車部品関連会社に 35年間のリースで貸し出していることがわかりました。

 

 

2997年、裏手の不動産の所有者が、市の不動作に対する占有権を主張し始めます。長いこと占有しているのだから、その不動産は法的にも私のものだ、という主張です。英語では「adverse possession」とか「squatter’s rights」とか言うみたいです。

 

 

しかし、この場所を実際に長年にわたって実際に使っていた人がいて、これが問題をさらにややこしくします。スミスフィールドは街なかですけれども以前は馬の市などが開かれていました。そのせいかもしれませんが、ここには馬車を修理する職人さんが仕事場を構えていて、馬がけっこう出入りしていたんですね。市によれば、この部分の話し合いは2015年にカタがついたそう。

 

 

2 年前になってマン島に登記したイエローラインという会社が、裏手の土地を購入したという通知を市に対して行い、市の不動産も購入したい意思を伝えます。イエローライン社が最初のオファーは 5000 ユーロだったそうです。

 

 

交渉のすえ、値段は 35,000 ユーロで落ち着いたのですが、それでも時価から考えると相当安いです。

 

 

市の担当者によりますと、「市の権利書には瑕疵がある。1969年にアクションを起こすべきだったのだが、起こさなかった。誇りに思えるような管理の仕方でないことはその通りだが、現状を受け入れて対処するしかない」のだそうです。法律家に相談したところ、やはり勝ち目は薄いのだとか。

 

 

エローライン社はここにアパートを建てる予定のようです。

 

 

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