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ピーター・バーグマンって誰?: スライゴーに消えた男

 

 

2019年6月16日、スライゴーのロシーズ・ポイント (Rosses Point) に男性の水死体があがりました。紫のストライプの海水パンツの上に下着のパンツをはき、上半身に着た紺色のTシャツの裾はパンツの中にたくし込まれていました。

 

警察はこの男の身元を確認しようと試みます。しかし、どうも男は意図的に身元を隠そうとしていたことがわかります。この60代とみられる男はスライゴー市内のホテルに宿泊していたことが判明したのですが、その時、男はピーター・バーグマンと名乗り、オーストリアの住所を宿泊名簿に残しています。ホテルのスタッフも男の英語にはドイツまたはオーストリアの訛りがあったと証言しています。

 

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ピーター・バーグマンと名乗る男 (CCTV の静止画)

 

しかし、男が残した住所は架空の住所でした。ホテルのCCTV映像によると、ピーター・バーグマンと名乗る男は、何かの入った紫のビニール袋を持って、13回ホテルから出ています。しかし、戻ってくるときには何も持っていないのです。袋の中身をどこかに捨てにいったのは明らかでしょう。しかし、捨てるところは監視カメラには記録されていません。

 

男は北アイルランドのデリーからスライゴーに来たことは判明しています。しかし、どのようにアイルランド島に入ってきたのかはいまだに不明です。調査の結果、男はスライゴーでいろいろミステリアスな行為を行っているのですが、それが何を意味するのかは闇の中です。ただ1つわかっているのは、どうも男はこの世から消え去ることを目的にスライゴーに来たということです。

 

郵便局で切手を10枚買っているのですが、手紙や小包を送るところは目撃されていません。死体発見の2日前に、タクシーでロシーズ・ポイントに下見に出かけています。スライゴーには2つのバッグを持ってきているのですが、そのバッグも中身も見つかっていません。

 

当初、男は水死したと見られていたのですが、検視の結果、男は不治の病を抱えており、浜辺で心臓発作を起こしていたことがわかりました。注意深く自分の身元の痕跡を消そうとする途中で、意図せず自然死してしまう。そんなことが同時に起こりうるものでしょうか。

 

男の遺体はスライゴーの死体安置所に送られ、遺族や友人が現れるのを数か月待ちます。CCTVの静止画はヨーロッパをはじめとする世界各国に送られます。しかし、誰からも連絡はありません。2009年9月、HSE (医療サービス当局) が購入したスライゴー墓地の一画に男は埋葬されました。そこには何の文字も書かれていない十字架が立っています。

 

 

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上記の話は、ロシータ・ボーランドという記者がアイリッシュ・タイムズに書いた6月12日付けの記事をもとにしています。

 

www.irishtimes.com

 

ボーランド記者は2年前にも「ピーター・バーグマンの未解決の謎」という記事を同紙に書き、「アトランティック」というタイトルでポッドキャストも制作しています。

 

同記者は、この記事やポッドキャストに触れた人からなんらかの情報を期待していました。2009年にもなって、CCTVにここまではっきりとした顔が写っている1人の男が完璧にこの世から消え去ることができるなんて信じられなかったのです。

 

多くの反響が寄せられたのですが、最も多かったのは DNA テストに関するものだそうです。ボーランド記者もこれについて警察に問い合わせしていたのですが、警察では DNA の解析は行っていないようです。理由は、「男がどこから来たのかヒントがわかるかもしれないが、身元の確認にはつながらない」からだそうです。まあ比較する相手がいなければ確かに身元はわかりようがありません。しかし、DNA の採取は行っているので、今後誰かが名乗り出てきたときには、DNAテストの出番がやってくるのでしょう。

 

オーストリアやドイツの新聞も大きな記事を載せて情報を募ったのですが、めぼしい反応はありませんでした。

 

 

ピーター・バーグマンとは誰なのか? 情報をお持ちの方はメールを送ってほしいとボーランド記者は訴えています。rboland@irishtimes.com

 

 

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