ディープフェイクという言葉を耳にされたことがあると思います。これは「深層学習(ディープ・ラーニング)」と「フェイク」を組み合わせた言葉。人口知能に基づいて人物画像または動画を合成する技術です。
このテクニックを使うと、動画の顔の部分だけを他の人に差し替えることができます。もちろん、性行為をしている画像に有名人の顔を当てはめるなど、悪用することも可能なのですが、昨日のアイリッシュタイムズに載ったこの記事は、害のない面白ストーリーです。
登場人物はアイルランドのラグビー現代表のジョニー・セクストンと元代表のローナン・オガラです。この2人が『ブレックファスト・クラブ』という映画のワン・シーンになりきりで登場するという趣向です。
『ブレックファスト・クラブ』は。ジョン・ヒューズが監督した1985年公開の青春映画。主演はモリー・リングウォルド。懲罰で休日に図書館に集められ、作文を書かされる5人。まったく異なる個性を持つ生徒たちが次第に自分をさらけ出し、心を通い合わせていくというストーリー。
オガラはエミリオ・エステベス演じる体育会系、セクストンはアリ・シーディー演じる殻に閉じこもったゴス少女という配役。シーディーが殻を破って髪の毛を上げ、女の子らしい服装で現れ、エステベスがはっとするというシーンです。
オガラとセクストンのポジションは共にスタンドオフです。オガラがキレイごとだけではなく、率直に語るタイプだったこともあって、現役時代のライバル関係の激しさは誰もが知るところ。その2人が恥じらいながら見つめあうというシチュエーションが笑いを誘います。
このビデオを作ったのは、スティーブン・コノリーというアマチュアのコメディアン。ひと昔前であれば、このクオリティのビデオを作るためには、ハリウッドの凄腕技術者を集めて、何百万ドルもかける必要がありました。現在ではスキルさえ習得すれば、アプリケーションを使って誰でもこの手の動画を制作できるというわけです。コノリーさんが使ったのは DeepFaceLab というアプリケーション。人に教えてもらえば、数時間で習得できるとか。
セリフの方ですが、これはコノリーさんのモノマネです。つまり、コノリーさんの2つのスキル、モノマネとDeepFaceLabの操作でこの動画の作成が可能になりました。
ちなみに、コノリーさんによると、オガラはこの動画を気に入ったけれど、セクストンはそうではなかったそうです。