たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

アイルランド/UK国境の町: ペティゴー

 

 

前にも一回書いたことがありますが、ペティゴー (Pettigo) はアイルランド共和国北アイルランドの国境をまたいで存在する町です。

 

f:id:tarafuku10:20210109101211p:plain



私はずっと「ペティーゴ」と「ティー」のところにアクセントを置いて読んでいたのですが、「ペ」にアクセントを置いて「ペティゴー」と読むのが正しいようです。

 

次の画像は、AFP のニュース映像からスクショしたペティゴーの町ですが、左がアイルランド共和国のドネゴール県、右が北アイルランドのファーマナ県になります。

 

f:id:tarafuku10:20210109100638p:plain



 

私もこういう場所が好きなので、2 回ほど訪れたことがあります。町の真ん中を小さな川が横切っていて、そこが国境になっているのです。

 

最後に訪れたのは 2013 年のこと。もちろん、その頃はまだブレグジットなんていう言葉はありませんでした。

 

何度も書いていますが、私は郵便関係が好きで、同じ町に緑の郵便ポストと赤い郵便ポストがあるのがおもしろくて、動画を撮りに行ったのです。

 

そのときの動画がこちら。緑のポストから赤のポストまでたった200歩です。

 

www.youtube.com

 

今日たまたま Youtube を見ていたら、たまたまちょっと前のペティゴーのニュース映像が出てきました。イギリスの EU 離脱は去年の暮れにいちおうの決着をみたわけですが、一時期はアイルランドの国境はどうなるんだという話題でもちきりだったわけで、ペティゴーにも取材陣が訪れていたわけです。

 

私が見たのは、こちらの AFP のニュース。2019年3月のものです。

 

www.youtube.com

 

ニュースは、この町にはまだ税関の建物が残っているのだが、何十年も使われないままになっている、という話から始まります。

 

f:id:tarafuku10:20210109100832p:plain

 

そして、川のほとりで自動車整備工場を営むマーヴィン・ジョンストンさんのインタビュー。

 

f:id:tarafuku10:20210109100712p:plain

 

マーヴィンさんは英国軍の退役軍人でもあることから、南の過激派のターゲットにされ、彼の工場は 2 回も爆破で全壊したそうです。現在の仕事場は以前は郵便局だったそうで、仕掛けられた爆弾の信管を外そうとしていた爆弾処理班の技術者が1人亡くなった場所だそうです。

 

マーヴィンさんは、チェックポイントができるようなことになっても、我慢しなければならないだろうねえ、とあきらめモードですが、もしそうなったとしても、以前ほど酷いことにはならないだろう、そうした暴力行為は人々の支持を得られないだろうから、とおっしゃっています。いや、ほんとチェックポイントできなくてよかったですね。

 

一方、南側の郵便局長さんである、ジェイムズ・ギャラハーさんもインタビューに応じています。

 

f:id:tarafuku10:20210109100730p:plain

 

 

2016年の住民投票ブレグジットが決定してから、アイルランドのパスポートを取りに来る人が倍増し、その後も毎年 2 倍のペースで増えているとか。北アイルランド生まれの人もアイルランドのパスポートを取ることができるという取り決めになっており、郵便局で申し込みを受け付けてくれるんです。

 

こちらの ITV のニュースもけっこうおもしろい。2018年の11月のもの。

 

www.youtube.com

 

ブリジット・ブリトンさんというおばあちゃんは、家庭菜園が国境の向こうにあったので、野菜やじゃがいもを取りに行くときは、税関に一声かけてから取りにいったとか。詳しくはわかりませんが、一言声をかけておけば、面倒くさい手続きを免除してくれるとか、そういう便宜を図ってくれてたのかなと思いました。

 

f:id:tarafuku10:20210109101943p:plain

 

また、フランク・マクマナス神父によれば、人が亡くなると国境の向こうにある墓地まで運んで埋葬もしていたとか。

 

f:id:tarafuku10:20210109102000p:plain

 

Wikipedia でペティゴーの基礎データを調べてみたんですが、人口は南側が590人 (2016年調べ)、北側が 63人 (2001年調べ)。

 

歴史について言えば、以前はエニスキレン (ファーマナ県) とバンドーラン (スライゴー県) を結ぶ鉄道の駅がペティゴーにあり、商業の町として栄えたそうです。しかし、アイルランドの分断 (1922年)、鉄道の廃止 (1957年)、北アイルランド紛争 (60 ~ 90 年代)により衰退。1998年の和平成立以降、経済は持ち直してきているとか。

 

近くのダーク湖 (Lough Derg) というところに、セント・パトリックス・パーガトリー (St Patrick's Purgatory) という巡礼地があり、その玄関口としてペティゴーは栄えたそうですね。特に20世紀半ばには国内外からの何万人もの巡礼者がこの町を通過していったようです。この巡礼地の人気は依然ほどではないそうですが、それでもこの町の観光産業にとっては非常に重要なお客さんだとか。

 

大きな出来事としては、独立戦争も終わりに近づいた 1922 年 6 月、アイルランド共和軍とイギリスの武装警察隊がこの町で衝突し、両陣営に何人かずつの死者も出たとのこと。

 

住民の宗教はさまざまで、カトリックアイルランド国教会 (プロテスタント)、長老派、メソジストなど。

 

またドライブで訪れてみたいんですけど、このコロナの状況ではねえ。早く以前の世界に戻らないかな。

 

アイルランド情報 人気ブログランキング - 海外生活ブログ