先日、世界で初めてファイザー/ビオンテックの新型コロナウイルス・ワクチンを投与された北アイルランド出身のマーガレット・キーナンさん (90歳) のことがニュースになっていましたが、キーナンさんがクライシス・アクターだという情報がネット上を駆け巡っています。
最初にはっきりさせておきますが、これは偽情報です。
たとえば、この Facebook のページ。
このページを開こうとすると、上のスクリーンショットのように、「虚偽の情報: 独立したファクト・チェック機関により検証済み」という文字が出てきます。これは、Facebookの方で追加したものでしょう。
構わず「See Photo」をクリックしますと、次のような写真が出てきます。この投稿者によりますと、このおばあちゃんはマーガレット・キーナンという名前ではなくて、リズ・スコットという役者だというのです。
2020年9月26日のワクチン反対抗議デモで転びかけたところを写真に撮られた女性、そしてStarNow という俳優/エキストラ派遣会社に登録されている女性、そしてキーナンさんがすべて同一人物だと主張しているのですが、転んでいる女性もエキストラの女性も、ずいぶんキーナンさんより若いですね。まあ、特殊メイクをしていると言うのかもしれませんが。
また、車椅子に乗ったキーナンさんが両手で円を作っているように見えるのですが、これはイルミナティのサインだそうです。いやあ、陰謀論にはやはりイルミナティが出てこないと恰好が付きません。
あまりにこの偽情報が出回ったので、複数の大手メディアがファクト・チェックをしています。たとえば、ロイター。
目の色が違うとか念入りに調べてますね。もちろん結論は偽情報ですので騙されないようにしてください。
しかし、デマ情報を流す方は面白半分でやっているのかもしれませんが、それがデマであることを証明するためにいろんな人が労力と時間が取られるわけで、いいかげんにしてほしいですね。
陰謀論の話は以上です。
あと余談ですけど、コロナワクチンを最初に投与される人がキーナンさんになったのは、たまたまではないと私は思います。メディアで大きく話題になるのがわかっているわけですから、ワクチンが遂にできたという明るい話題で国民の皆さんの気持ちを高めると共に、ワクチンの安全性を印象付けるいいチャンスでもあります。
まず、第一条件としてかなりの高齢者でなければなりません(ワクチンは高齢者から打つことになっています)。それから、キーナンさんはほんの数年前まで宝石店で働いていただけあって、気品がありますね。あんな派手なクリスマス・セーターを着てサマになる人ってなかなかいませんよ。テレビ映り/写真移りがよくて、あんなに高齢の方もワクチンを受けているんだから自分も大丈夫だと視聴者が思えるような人。そういう基準で選ばれたのではないかと思います。