たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

アストラゼネカのワクチンは南アフリカ変異株に効かない

 

 

なにかと話題の多いアストラゼネカのワクチンですが、新型コロナのウイルスのうち、南アフリカ変異株には効き目が悪いという臨床試験の結果が出ているようですね。

 

www.irishtimes.com

 

この臨床試験は規模も小さく、最終的なものではないようですが、アストラゼネカ・ワクチンは南ア株の軽度の症状を抑えるにはどうも効き目がそれほどでもないようだと。治験を受けた人の中で重傷者や亡くなった人はいない。ただ、治験を受けた人の多くは若くて健康な人なので、ワクチンが重症化を防ぐかどうかについてはなんとも言えないとのこと。

 

アストラゼネカとオックスフォード大学は、この変異株にも対応できるようにワクチンの修正に取り掛かっている。必要であればこの秋には出荷できるように治験などの準備を進めているとのことです。

 

話は変わって、こちらは国によってワクチンを打つ優先順位に違いがあるというちょっと面白い記事。

 

www.irishtimes.com

 

たとえば、フランスではタクシー運転手の優先順位が高い。これは、第一波のときに医療関係者よりも運転手さんの死亡率が高かったから。学校職員、店員、食肉加工場の作業員なども優先順位が高い。

 

インドネシアでは、高齢者を優先するのではなく、現役世代 (59歳以下) を優先。同国は中国のシノヴァックのワクチンを使うのだが、どうもこの会社のワクチンが高齢者に効くかどうかデータが揃っていないということらしいです。

 

アメリカでは、学校関係者 (スクールバスの運転手含む) は長期介護施設に入っている高齢者の次に優先度が高い。ちなみにアイルランドの先生は11番目の優先度。

 

f:id:tarafuku10:20210207232814p:plain

 

ワクチン接種の優先順位については、もちろん不満を持つグループはどうしても出てきます。たとえば、アイルランドの家庭介護者の団体は、自宅で介護をしている10000人のうち300人しか接種を受けていない、リスクの高い人と日々接しているのに、としています。

 

UCC(アイルランド国立大学コーク校)のワクチン研究者であるアン・ムーア博士は、ワクチンの優先度リストは倫理観を形作る文化に基づくものだという。「アイルランドの人々にとって(アイルランドの)優先度リストは良いものだと思う。集団ごとに倫理的な正当性が定義されており、これにより、ある集団がある順位を与えられた理由について透明性を確保できる。道徳的平等性、害の最小化、公平性などの倫理的原則がプログラムには明記されているので、ロビー団体がリストに影響を与えたのではないかなどという疑いを排除できる」

 

オーストラリアで働くアイルランド人の公衆衛生コンサルタントであるナイル・コンロイ博士は、ワクチンに対する考え方を変える必要があるという。現在のところは接種された本人を守ることに焦点がいっているが、人口のかなりの割合が免疫を獲得することが重要なのだという考えに変える必要があるということ。ワクチン・プログラムが成功したかどうかは、早い段階でリスクの高い人に接種できたかどうかではなく、ウイルス拡散のダイナミズムを変えるだけの十分な人に接種できたかどうかで測るべきだ、だそうです。

 

WHO の Covid-19緊急対策チームを率いるアイルランド人のマイク・ライアン博士は、先進国がワクチン配布のタイムラインで言い争いをしていることに警鐘を鳴らす。「ワクチンを欲しがっているパキスタンの看護師やウガンダ助産婦のことを考えてほしい。彼らは列の最後尾に並んでいる。列の前の方で順番を争っている人を見てどう思うか。パンくずにもありつけないのに、ケーキの分け前について争っているようだ」

 

前出のコンロイ博士は、発展途上国にワクチンを供給することは、倫理以上の重要な意味があると言います。発展途上国でウイルスの拡散を放っておくと、ウイルスが変異し、ワクチンが効かない株が生まれる可能性がある。それが先進国に入ってくると、パンデミックは終わらない、というのです。この意味で、世界で同時にワクチンを提供していくことは重要なのだそうです。

 

アイルランド情報 人気ブログランキング - 海外生活ブログ