たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

ゲーリック・ゲーム

夏はゲーリック・ゲームのシーズンです。ゲーリック・ゲームはアイルランド発祥のスポーツの総称ですが、主にはゲーリック・フットボールとハーリングです。この 2 つのスポーツの選手権決勝戦が 9 月に行われるので、夏の間はそれに向けてのトーナメントが毎日曜に組まれているんです。この時期に、アイルランドの田舎を旅していて、田舎なのになんでこんなに道が混んでるんだという経験をしたなら、それはたぶん近くでフットボールかハーリングの試合が行われているのです。

 

イメージ 1

街の中にはゲーリック・ゲーム絡みの宣伝広告も貼り出されています。1 枚目の写真では、お母さんだけがメイヨー県のユニを着ていて、お父さんと子供たちはゴルウェー県のユニを着ています。「70 分間 (35 分ハーフなので) だけライバルだけど、ずっとずっと一緒の家族」と書いてあります。試合に対する情熱、郷土愛、家族愛、みたいなものがすべて表現されたいい広告だと思います。

 

イメージ 2

2 枚目は試合に熱狂している (ようにみえる) 子供の写真です。ダブリンのユニを着ています。キャッチコピーは意訳すると「人生、何年生きたかが問題じゃない。どう生きたかが問題なんだ」ぐらいになるでしょうか。子供にはかないませんね。

 

イメージ 3

3 枚目はギネスの広告です。ハーリングで使うスティックをペガサスの翼のように並べています。これはちょっとカッコつけすぎで、私はあまり好きではありません。

 

ゲーリック・フットボールもハーリングも激しいフィジカル・コンタクトのあるスポーツです。私はサッカーが一番好きなんですが、ゲーリック・フットボールやハーリング、そしてラグビーなんかの肉体のぶつかり合うスポーツを見ると、サッカーとはまた別の興奮が呼びさまされます。もちろん、性的な興奮ということではないですよ。日本でも、ふんどし一丁の男たちが体をぶつけて神木を奪い合うという神事があちこちで開催されますが、そういう興奮につながるものかもしれません。

 

アイルランドのサッカーは一時期、放り込みサッカーとずいぶん馬鹿にされていました。アイルランド人もブラジル・スタイルのパスをつなぐサッカーが美しいものという認識はあります。かつてナイル・クインという長身 FW がアイルランド代表にいました。日韓ワールドカップのドイツ戦で、ロビー・キーンの同点ゴールを頭でアシストした選手です。この人が現役時代、アイルランドの私の友人や知り合いも「Look at that FW. He is a joke. (あいつは冗談としか思えない)」とか「I can’t stand him (あいつには我慢できない)」などと言っていたものです。確かにクイン選手は足元がどうしようもないほど下手で、基本的にワン・タッチで味方にボールを返すことしかできなかったんです。うまいからワン・タッチじゃなくて、ヘタでボールを保持できないからワン・タッチです。でも、口ではそんなことを言いながらも、やっぱり大男の FW が大男の DF と肉弾戦を繰り広げるっていうのがアイルランド人は好きなんじゃないかなと思います。日本人がフィジカルの重要性を口にしながらも、どうしても華麗なパス交換に美しさを見出してしまうように。

 

アイルランド代表の 2 トップはキーンとケビン・ドイルですけど、この 2 人よりも単体の FW としては劣るんだけど、図体のでっかいカレブ・フォーランをドイルの代わりに入れた方がどう見たって点が取れそうなんですよ。実際取ってるし。心なしか選手たちもイキイキしているように見えるし。そう見えるのは、実は私自身がでっかい FW 見るとイキイキしちゃうようになったからなのでしょうか。