たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

尖閣諸島

日本のメディアでは尖閣諸島のことが大きな話題になってますけど、こちらではほとんど報道されてません。今日、中国人の船長が釈放されたそうなんで、それを受けてどうなるかはわかりませんけど。今、Sky News つけてるけど、特に話題にはなってない。

 

新聞の記事を見かけたのは、昨日 (23日、木曜) が初めてでした。アイリッシュ・タイムズ紙の国際面の下の方に、小さ目の記事が載っていました。

 

記事を書いたのは、クリフォード・クーナン記者です。彼は、香港に駐在しているからか、中国の反応を主に伝えています。

 

中国の温家宝首相の言葉が紹介されています。日本でも紹介されてと思いますけど、「日本が忠告に背いて強情に行動すれば、中国はさらなるアクションを取るだろう。日本はすべての深刻な結果に対してあらゆる責任を負わなければならない」。

 

クーナン記者はこの言葉をとても愛国的 (patriotic) でかなり強硬 (forceful) と描写していますけど、英語で読む限り、領土問題に関する一国のリーダーの発言としては、まあ普通ですね。これぐらいは言うだろうと。

 

それに対する日本の反応としては仙石官房長官の話が引用されています。「幅広く、戦略的を含むさまざまな事柄で、なるべく早く高いレベルの対話を持つことが望ましい」。うーん、今、日本語に訳してみて思ったんだけど、日本語にすると結構まともっぽい。

 

しかし、英語で読んだときのがっかり感は半端なかった。ちなみに英語は「It would be good to have high-level talks as soon as possible, on issues including broad, strategic matters.」。

 

「弱腰」っていえば弱腰なんだろうけど、がっかりしたのはそういうことじゃありません。発言がなんか「他人事」なんですよ。これは、第三国の仲介役の国の人が言う言葉でしょう。呑気だなーという印象です。

 

私がネットで新聞記事なんかを見た限りでは、当事者として受け止めて、当事者として発言している人は前原外務大臣ぐらいで、「尖閣諸島は日本の領土であって、国内法に基づいて処理する」って言ってるんだけど、そう言うと「強硬派」ってことになるらしい。自分の立場 (日本という国の立場) を表明するだけで「強硬派」って、何なんだろう、それは。

 

波風立たないように、相手の気分を害さないように、とかそういうことばっかり考えて行動して、うまくいかなくなるとまた最後にキレちゃうとか。そういう両極端しかできないのが、一番あぶないと思うんだけどなー。

 

China threatens retaliation in row over trawler captain
http://www.irishtimes.com/newspaper/world/2010/0923/1224279508497.html

 

なんていう事を、昨日の新聞を読んだ時点で考えてたんだけど、今日になって船長が釈放された。保釈を決めた検事さんがこんなことを言っている。「我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当ではないと判断した」。

 

三権分立の観点から言うと、これはおかしいのではと思うのだけど。検事さんは法律に則って粛々と裁判を進めればいいだけであって、政治的な状況を配慮するのは彼の職権を超えているのではないか。もし、政治的な圧力を行政や政府から受けたのであれば、三権分立の原則から跳ね返すべきであって、なんでその辺がなーなーになってるのかわからない。

 

私がネットで見た範囲では、まあ私がそういうサイトしか見に行ってないからかもしれないけど、船長の釈放という今回の決定に賛成している人はほとんどいない。代議士さんは国民の代表として、国民に代わって声をあげてくれる人のはずなんだが、船長釈放を働きかけた人たちは、誰の声を聞いて行動してるんだろうか。それとも、やっぱりこの国は、誰に選ばれたわけでもなく、誰の声を代表しているわけでもない官僚が仕切ってるってことなのかな。