たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

「オランダ戦は捨てろ」なんて言ってないし。

カメルーンには勝ちました。次のオランダ戦をどうするかという話になっています。

 

スポニチのウェブサイトに、トルシエ元日本代表監督の意見が掲載されています。

 

 

題して「トルシエ氏“奇策”を提言「オランダ戦は“捨てろ”」」。

 

ところが、記事を読んでみると、トルシエは「オランダ戦を捨てろ」とは一言も言ってないんです。

 

トルシエが言っているのは、オランダ戦を全力で行く必要はない、ということです。

 

これは、考えてみれば当然の話で、一次グループでの日本の目標は全勝することではなく、2 位までに入って決勝トーナメントに進出することです。だから、一試合一試合に全力を尽くすのではなく、一次グループの 3 試合を見渡して、2 位になれるだけの勝ち点を稼ぐことを目的に、うまくリソースを配分するようにマネージメントすることが重要となります。実際に、岡田監督もそのように考えているはずです。

 

カメルーン戦では日本は「引き分けでもいい」という気持ちで試合に入り、結果的には勝ち点 3 を得ることができました。カメルーン戦が引き分けであれば、オランダ戦でも引き分けが欲しいところでした。ところが、カメルーン戦に勝ったおかげで、オランダ戦は負けても構わない (トーナメント進出の可能性が極端に少なくなるわけではない) という状況になりました。つまり、日本はオランダ戦でより大きなリスクを取ることができるわけです。

 

具体的にはトルシエは、松井、大久保、長谷部、本田を休ませ、稲本、玉田、中村憲、岡崎を起用しろ、そうすればうまくローテーションが組めるはずだ、と言っています。一試合目の結果でより大きなリスクを取れるようになったのだから、そのリスクを取らなかったら勝った意味がないではないか、ぐらいにトルシエは考えているかもしれません。

 

実際、日本は引き分けで御の字、つまり点取らなくていいわけだから、前線で走り回れる岡崎がトップでいいかもしれません。ただ、ロングボール競れる選手が前に一人は欲しいので、右サイドは矢野あたりしかオプションないかな。矢野だったら、ブロンクホルストとは十分競れるし、オランダ戦はカメルーン戦の続き、カメルーン戦の一点を守りきるんだっていうコンセプトにすれば、矢野を使っても全然おかしくはない。遠藤の代わりに中村憲、長谷部の代わりに稲本、大久保に代えて玉田で、なんか結構いいチームに思えてきた。

 

新聞記事の話に戻るけど、この見出しを付けた人は、「全力で行く」と「捨てる」の両極端の 2 つしか試合に臨む態度がないと思っているみたいだ。そうだとしたら、スポーツ記者としてはお粗末だし、極端な話にして読者が消費しやすい形で提供した方が新聞が売れると考えたんなら、もっとひどい話だ。そもそも、トルシエはそんな話してないんだから。トルシエはリスクを大き目に取るようにマネージメントしろと言っているわけで、「全力で行け」とか「捨てろ」とか、0 か 100 かみたいなそんな単純な話をしているわけではないのです。