たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

私のクリスプス

おととい、郵便局に荷物を取りに行く途中で、これは際どいなーと思う看板広告がありました。

 

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Hunky Dory っていうポテトチップスの宣伝なんですけど、チアリーダー風ラグビージャージーに身を包んだ女性が、胸の谷間を覗かせながら、こちらを見つめています。

 

コピーは「Are you staring at my crisps?」。私のクリスプスを見つめてんの? ということですが、crisps っていうのはポテトチップスのことです。こちらで chips と言いますと、いわゆるフレンチフライのことになります。

 

私もこの広告を見た瞬間、彼女のクリスプスを見つめていたわけですが、これはぎりぎりだなー、と思いました。

 

そしたら、昨日のラジオのレイ・ダーシー・ショーでさっそく話題になってて、アイルランド・ラグビー協会の人が電話出演していました。広告の下の方に、Proud Sponsor of Irish Rugby とも書いてありますから。

 

ラグビー協会の人は、この広告は性差別的な表現を含んでいるし、こんな品のない広告とラグビーを関連付けられるのは迷惑だとのことでした。しかし、ラグビー選手もセックス・シンボル的なイメージで語られることが最近は多いですし、それを利用した広告出演とかもありますけどね。司会のダーシーさんはそんな質問も投げかけてましたが。また、Hunky Doryは協会のオフィシャル・スポンサーではないけれども、地方のチームをいくつかスポンサーしているので、アイルランドのラグビーのスポンサーであるというのも物凄く間違っているわけではないらしい。

 

夜には、UTV (イギリスの ITV の傘下で、北アイルランドの放送局、U は Ulster の U) のニュースでも取り上げられていました。町の人にインタビューしていたんだけど、「目くじら立てるほどのものでもない」(20代男性)、「明らかに性差別的」(20代女性)、「特に問題はない。(インタビュアー: 明らかに性的な対象として女性を描いているが)。それは女性が日常的に自分でやっていることでしょう」(30 代女性)、など。

 

今日のアイリッシュ・タイムズにも載ってました。
http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0428/1224269221337.html

 

ラグビー協会や女性団体は抗議している。広告管理局は昨日だけで 1 ダースを超える一般市民からの苦情を受け取った。広告の専門家によると、Hunky Dory のような商品にとっては、理由はどうあれ話題になることだけで成功だそうです。特に品の良さが求められるような商品でもないし、アイルランドのポテチ業界では Hunky Dory は弱小ブランドだからでしょう。つまり、もともとこの商品を買ってた人は少ないので、このショッキングな広告のせいで買うのやめたーっていう人よりも、面白いじゃんって新たに買ってくれる人の方が期待値としては高いということなのか。

 

Hunky Dory を販売するラーゴ社社長のお言葉「否定的な反応に正直驚いています。個人的に私が受け取った反応はとても肯定的なものでした。この広告が性差別的であるとは私は考えていませんが、そう受け取られた方には謝罪いたします」。お主もワルよのー。

 

しかし、私が思うに、これだけ議論を巻き起こしたのは写真じゃなくてコピーの方ではないでしょうか。「私のクリスプスを見つめてるの?」。クリスプスってポテチなわけだから、とても日常的である意味退屈な単語なわけです。そんな単語にこれほどまでに想像力を掻き立てる力があったとは、というのに私は驚きました。crisp には「カリッとした」という形容詞的意味もありますから、何がカリッとしてるんですか! って話になります。もちろん、モデルの女の人も綺麗ですけどね。

 

この広告キャンペーンではいくつかのバージョンが使われてるんだけど、たとえば下の 2 つの写真だけだったらそんなに議論が起きなかったんじゃないかと思うんですが。セクシーな写真を使う広告って普通によくあるし。どうでしょう。「Others Haka, We Hunky」は逆にかっこよすぎでしょ。

 

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アイルランドの女性が集まる掲示板っていうのがあるのを昨日知ったんだけど、そこでもこの広告をネタにしてスレッドが立ってた。もちろん反対意見が多かったんだけど、実際にラグビーをプレイしている女性がどう思うかっていうのは有効な論点だと思いました。でも、なぜかモデルの女の人を攻撃してたりとか、あと、たまにラグビー好きの人でいるんだけど、「ラグビーは選ばれし者のスポーツ」だと思ってるらしくて、そんなラグビーがこんな下品な広告に関連付けられるのは遺憾です、みたいなのはちょっとどうかと思った。今、探したんだけど、この掲示板が見つからないのでアドレスをここに書けません。ごめんなさい。

 

「Are you staring at my crisps?」は女性からの誘惑の文句としては結構使えそうな気がします。そういう状況に遭遇した幸運な方は是非使ってみてください。体験談をお待ちしています。

 

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2010/5/2追記: ラグビー協会からの苦情を受けて、「Proud Sponsor of Irish Rugby」の文言は広告から削除されることになりました。

 

また、マンスター (Munster) ラグビー・チームのスポンサーである TOYOTA は次のような広告を今日の新聞に出していました。

 

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Proud Sponsers of Munster Rugby: TOYOTA って書いてあります。また襟の内側の部分に「wear with pride and honesty」(誇りと誠実さをもって着る) って書いてあるのが見えます。ハンキードリーの広告で議論が盛り上がってるのを見て、さっそくこの広告出すことにしたんでしょうねー。