たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

ギャングの好きな曲

ダブリンは特に治安が悪いっていうことはないんですけど、やっぱりギャングみたいな人もいて、麻薬関係の縄張り争いとかもあるんです。

 

ジャーナリストがそういうギャングの実録物を出版すると、パブリシティも兼ねてその一部が日曜紙に載ったりするんですね

 

この前の日曜の Sunday Tribune 紙にも、「コカイン戦争 (Cocaine Wars)」っていう新刊本のサワリが掲載されていて、おもしろそうだから読んでみました。

 

それによるとですね、ダブリンのギャングたちに愛されている曲というのが 2 曲あって、ギャングの結婚式とか 21 歳の誕生日 (成人するってことなんで重要な誕生日なんです) とかお通夜とかには必ずかかるそうです。

 

ひとつはサバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」です。ギャングの人たちにはやっぱりボクシングが凄い人気なんで、これはわかりやすいですね。映画「ロッキー」のテーマソングですから。

 

で、もう一曲が、なぜかフィル・コリンズの「In the Air Tonight」です。

 


フィル・コリンズによれば、前妻との結婚生活がうまくいってなかったときに暗澹たる気持ちで書いた曲なのだそうですが、溺れている人を見殺しにした男の歌だという噂もあって、フィル・コリンズがその男をコンサートに招待して、その男をずっと見つめながらこの曲を歌い、その間、スポットライトが男を照らしていた、という都市伝説まであるそうです。

 

この曲には怒りが満ちているのは感じ取れるし、後半、ドラムが入ってくるところでアドレナリンがほとばしるのもわかります (上のビデオだと 3:41 のところ)。死よりも生の強さをコリンズさんがこの歌に込めたところがギャングに受けているのかもしれませんし、単にあのドラムの音が好きなだけかもしれません。また、コリンズさんが「Buster」というコメディー映画で主役の小悪党を演じたからなのかもしれません。

 

曲を聴いて楽しむだけならわかるのですが、ギャングさんたちはフィル・コリンズのコンサートにもちゃんとやってきます。2005 年 11 月にコリンズがダブリンのポイント・シアターでコンサートを行ったときも、刑事さんたちは 1 ダースを超える名の知れたギャングたちの姿を目撃したそうです。

 

そんなこんなで、ギャングのボスの 1 人がそのコンサートの後で殺されてしまうわけですが、そのサンデー・トリビューン紙の記事には 1 枚の写真が添えられていました。アディダスのジャージのジッパーを胸元まで締め、両手をポケットに突っ込み、坊主頭で、口を半開きにした人相の悪い男の写真です。

 

ギャングっていうと派手なスーツ着てるイメージかもしれませんけど、ダブリンの悪い人はだいたいスポーツメーカーのジャージ着てるんですよ。少なくともステレオタイプのイメージとしてはそうなんです。なので、私は、あー、この人が殺したか殺されたかしたんだろうな、と思ったわけです。

 

その写真です。↓

 

イメージ 1

 

キャプションをよく見ると、フィル・コリンズさんでした。いや、この 3 人で写ってたらまだわかったかもしれませんけど、コリンズさんが切り抜きで使われてたので。そりゃ、ダブリンのギャングの人も好きになるわ、と思いました。