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ダブリンのバンド - Aslan

Aslan  (アズラン) っていうダブリンのバンドが結成 30 周年記念コンサートを開いたので、先週の土曜日にオリンピアシアターに見に行ってきました。
 
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デビューの頃のことは私も知りませんが、当時は U2 に続いてアイルランドから世界に羽ばたくのはこのバンドと言われていたらしい。もちろんその頃はそういったバンドがいくつもあったのかもしれませんが。
アイルランド国外ではあまり名前を知られていませんが、国内でのヒット曲はいくつもあって、アイルランド人なら誰でも知ってるバンドです。アイルランド紅白歌合戦があったら、たぶん出場 15 回くらいはいってると思う。
最大のヒット曲はたぶん「Cruel World」。1993 年の発売だからもう 20 年前になるのか。この映像は 10 年ぐらい前の Vicar Street でのライブ。
 
 
メンバーは、ダブリンのフィングラス/バリマンあたりの出身ですが、そこはノースサイド中のノースサイドというか、筋金入りのワーキングクラス・エリアです。私にとって、ダブリンのバンドといえば Aslan。ボーカルのクリスティー MC でこてこての訛りでしゃべると特にそう思う。
世界の人にとってはダブリンのバンドと言えばたぶん U2でしょうけど、ダブリンの人にとっては U2 はダブリンのバンドというより世界のバンドになってしまったのではないか。そうでもないのか。
コンサートは 5 人のメンバーに キーボード、 4 人のストリング、 8 人のコーラスが加わった豪華編成。私もほとんど知ってる曲なので楽しめました。客層は 20 代から 50 代まで、まさに老若男女ですね。
今年の春ごろに「Too Late for Hallelujah」っていう新曲を発表して、それがラジオで繰り返しかかっていた。
 
この曲はオリジナルじゃなくて同じアイルランドのミュージシャンのなんとかっていう人の曲なんだけど、曲も歌詞も素晴らしいです。囁くように入って、オクターブ上がって、サビは 8 つずつ刻みながらこれでもかというくらいに畳み掛けます。
歌詞もですねー、私がそういう年代だからそう聞こえるのかもしれませんけど、ミッドライフ・クライシスの歌なんですよ。「あなたは何も望むことはなかった。そして望んだ通りのものを得た。必死になって変えようとするのだが、どの肌も同じ手触りがする」とかね。そう考えると、ロックっていう音楽が表現できる奥行きも深くなったと思う。
この曲は、ほんとうはそうではないんだけど、Aslan が自分たちで書いた、または Aslan のために書かれた曲みたいだ。ファーストアルバムの成功の後、クリスティーが薬にハマって脱退。5 年のブランクの後、再結成するのだが、今一歩のところで世界的な成功を納めることのないままバンドは 50 代を迎えてしまった。
代表曲の「Cruel World」には禅問答の「隻手の声」みたいな歌詞が出てくるんだけど、「Hallelujah」の中のたとえば「どうやって踊ったんだい? 誰の手も握らずに」はそのテーマの繰り返しのようにも聞こえるし。
2 年ぐらい前にアイルランドのボーイズバンドの走りで大人気だった Boy Zone がこの曲を歌ったんだけど、それはやっぱり切実さというか説得力の点では Aslan に敵うべくもなかった。だって、彼らはまだ 30 代で「Too late」なんてことは全くないわけだから。まあお金もあるしな。
Aslan はオリジナルもいいんだけど、有名な曲のカバーもとてもいい。元歌の良さを残しながらも自分たちの味にしていています。ほんとうはローリング・ストーンズの「アンジー」にしたかったんだけど、Youtube にいいのがなかったので、ピンクフロイドの「Wish You Were Here」のカバーです。どぞー。