たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

パレスチナ問題とゲイ・パレード

イメージ 1

街へ食糧の買出しなどに行きました。ハーフペニー橋を渡っていると、リフィー川に黄色い小舟が浮かんでいるのを発見。パレスチナの国旗もはためいています。文字が書いてあって、1 月にイスラエルは 300 人のパレスチナ人の子供たちを殺したと。しかし、EU はイスラエルに対して何の制裁措置も加えようとしていないと。EU の政策はイスラエルのジェノサイドを容認していると。だからリスボン条約 (EU 基本条約を修正するための条約。すべての加盟国が批准しないと発効しない) に NO と投票しよう、という内容です。

 

イメージ 2

 

内容自体が正しいことなのかどうかはイスラエルの言い分も聞かないといけないのでここでは判断できませんが、思ったのは、この宣伝を考えた人は頭がいいなー、ということです。ハーフペニー橋はダブリンの街の真ん中に架かる橋であり、観光名所でもありますから、週末の人通りは凄まじいものがあります。そこに見慣れないものが浮かんでいれば、必ず目に止まります。また、EU に関連付けることで、パレスチナとは何の関係も持たない (人がほとんどであろう) アイルランド人にも身近な問題として考えてもらう努力をしています。日曜の長閑な昼下がりに納豆を買いに行こうとしていた私も、パレスチナで死んでいった子供たちのことを短い時間にせよ思い浮かべました。

 

それから、テンプルバーを抜けて Dame Street に差し掛かると、大勢の人が楽しそうにパレードしてるんです。レインボー・カラーのフラッグが振られていたので、ゲイの人たちなんだとわかります。でも、ゲイ・パレードは2、3か月前にやったばかりなんですよ。なんだろなーと思ってよく見てみると、どうも政治的なデモなんです。いちおうシュプレヒコール (We want equal rights!) みたいなのもしてるし、スローガンを書いた横断幕も掲げています。たぶん、ゲイの人にも法的な結婚を認めてほしいというデモだったと思います。でも、この人たちは、政治的なデモをするのもお祭りでパレードするのもノリがおんなじなんです。オープンデッキの 2 階建観光バスが通りかかると歓声を上げて手を振っているし。

 

イメージ 3

 

政治的なデモというと、もうちょっと沈鬱だったり、殺気だっていたりするのが一般的だと思います。しかし、ニュートラルな人を巻き込むということがデモの一つの目的だとすると、どちらのデモの方がより効果が高いでしょうか。どっちかというと沈鬱だったり殺気立ったりしている人たちよりも、なんだか楽しそうな人たちの応援をしたいと思う人の方が多いのではないでしょうか。

 

日本の新聞報道などを見ていると、デモの参加者は怒りをぶつけたり、爆発させたりしている人ばかりです。怒りをぶつけたり、爆発させたりする人がデモの参加者に本当に多いのか、それともそう書いた方が話として面白いから新聞がそう書いているだけなのか、それは私にはわかりません。しかし、感情を爆発させたがっている人に対して、ニュートラルな人はあんまり感情移入しないだろうなー、どっちかというと引いちゃうだろうなー、というのにはそろそろ気付いてほしいです。もちろん戦略として感情を爆発させるというのはありでしょうけれども、それはほとんど最後に近い手段ですよね。パレスチナの小舟を作った人のように戦略的に、そしてゲイ・ライツのデモンストレーターのように余裕をもった態度で、人に対して自分の考えを訴えかけていきたいものです。