今回は、リバティーズ地区に3番目の蒸留所としてオープンしたダブリン・リバティーズ蒸留所についてご紹介します。
ダブリン・リバティーズ蒸留所は、クイントエッセンシャル・ブランズ (Quintessential Brands) 社がオーナーです。ロンドンに本拠を置く同社は、主に蒸留酒の製造と販売を業務としています。投資銀行に勤めていたウォレン・スコット氏とカンパリの社長を務めたエンゾ・ビゾーネ氏により2011年に設立されました。
同社は、まずリーシュ県のアビーリーシュにあるファースト・アイルランド (First Ireland) 社を買収してアイルランドに進出します。オマーラズ (O’Mara’s) やフィーニーズ (Feeney’s) というブランドのクリーム・リキュールを製造しています。
その後、同社は2015年に新進のウイスキー会社であったダブリン・ウイスキー・カンパニー (Dublin Whiskey Company) を買収。リバティーズ地区に蒸留所とビジター・センターを建設することを発表しました。マスター・ディスティラー (主任蒸留技師) として、ブッシュミルズ蒸留所で17年の経験を持つダリル・マクナリー氏を迎えています。
2019年の2月の末頃ですが、カフェでお昼ごはんを食べようと思って久しぶりにティーリング蒸留所に行きました。それで、ダブリン・リバティーズ蒸留所がそろそろこのあたりにオープンするという話を聞いていたので、あたりを散歩してみました。
そうしますと、ティーリング蒸留所の裏の通りに新しい蒸留所が見つけました。ティーリング蒸留所の裏口とダブリン・リバティーズ蒸留所の入り口の距離は50メートルもないくらいの位置です。
オープンしているようでしたので中に入ります。ショップでミニボトルを3本ほど購入。POSコードのスキャンの仕方とか、50ユーロ札の偽札発見ペンの使い方とか、まだ慣れてない感じです(アイルランドでは50ユーロ札を使うと、レジの人がペンを走らせて偽札かどうかをチェックすることがよくあります。たぶん透かしが良く見えるようになるペンだと思います)。
お店の人に、いつオープンしたのか聞いてみると、実は正式オープンは翌日とのこと。今日はスタッフのトレーニングも兼ねて、仮オープンの状態なのだそうです。
見学ツアーについても聞いてみたところ、実は3時からツアーをやるのだといいます。時計を見ると2時50分。ツアーもトレーニングを兼ねているので、今日は参加料はいらないとのこと。もちろん参加させてもらうことにします。
今日のツアー参加者は12人。近所に住んでいるアイルランド人5人、スウェーデン人の熟年カップル3組、そして私です。みんな、たまたま迷い込んできた人です。
ガイドさんは、若いスペイン人女性のミリアムさん。語り口も初々しい感じ。
ツアーは「ウォーター・ルーム」と呼ばれる部屋から始まります。ここでウェルカム・ドリンクとしてハチミツ入りウィスキー・リキュールをいただきます。モニターも用意されていたので、本来ならビデオ上映を行う計画があるのかもしれませんが、今日はガイドさんのお話。アイリッシュ・ウィスキーの簡単な歴史とか、ここリバティーズ地区の歴史とかですね。
いよいよ製造設備の見学に入ります。残念ながら撮影禁止でしたので写真はありません。
ここの設備は独立系の蒸留所としてはかなり大きいです。仕込みや発酵のタンクは3階建てビルの高さほどあります。ポットスティル(蒸留器)は3つあって、これもしっかりしたサイズです。
稼働したばかりということもあってか、匂いや熱などの現場感はまだありせんでしたが、樽をうまい具合に配置したりして、見学者向けに「見せる」演出も工夫していました。
さて、いよいよバーでの試飲です。
ここの蒸留所のウィスキー・ブランドは2種類あって、1つが「ダブリナー」、もう1つが「リバティーズ」です。きょう試飲するのはダブリナーの3年ものと、リバティーズの5年ものです。
私の個人的な好みでは、リバティーズの5年ものがおいしかったです。スパイシーで複雑な深みのある味わいです。
(上の写真はすべてミニボトルです)
Webサイトでお値段を調べてみますと、700ml ボトルでダブリナー3年ものが28ユーロ、リバティーズ5年ものが45ユーロ、ウイスキー・リキュール(赤ラベル)が22ユーロでした。
あと、デッド・ラビット (Dead Rabbit) というブランドのウイスキーもショップで売っていました。ニューヨークにデッド・ラビットという有名なアイリッシュ・パブがあるのですね。そこのパブとの提携で作っている製品ではないかと思います。
(ミニボトルです)
しばらくしたら、もう一度行ってみようと思っていたのですが、残念ながら現在は新型コロナウイルスの影響で休業中です。ロックダウンが終わったらまた訪ねてみたいと思います。写真撮影もOKになるような気がするので。見学ツアーは16ユーロと32ユーロのコースがあるようです。
また、カフェも併設されています。
参考資料