たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

中村俊輔選手

もうおととしのことになりますが、タケと一緒にグラスゴーにセルティックの試合を見に行きました。

 

チャンピオンズ・リーグのグループ・リーグの最終戦で相手はスペインのビジャレアル。セルティックはすでに敗退が決まっててまったくの消化試合になってしまったんだけど、タケも日本に帰る前にぜひということだったし、私もセルティック・ファンを標榜している以上、一回は行ってみたかったので。

 

時間があったのでシティ・センターからセルティック・パークまで歩いていったんですが、これはやめたほうがいいです。すごく遠かった。バス使ってください。

 

とにかくスタジアムについて、オフィシャル・ショップで時間つぶしたりしてたら、選手を乗せたバスが到着しました。選手が 1 人ずつ降りてくるんですけど、地元のサポーターから声援が飛んだ選手が 2 人いました。1 人は中村選手、もう 1 人は誰かわかりませんでした。すみません。でも中村への声援の方が大きかったです。

 

試合開始前、選手が出てきてウォーミング・アップするんですが、なんだか中村選手はストレッチするだけでも優雅なんですよね。ほかの選手はキビキビとか、ガツガツとかいった感じなんですが、中村選手だけ優雅。

 

試合が始まるとですね、後ろのおっちゃんなんか「ほら、いまボール奪ったのだれだ。ナカだよ」なんて言ってました。攻撃だけじゃなくて、守備も褒められてましたね。正直なところ試合の内容はまったく覚えてなかったんですが、いま調べたら、2 対 0 でセルティックが勝ってました。

 

中村選手はセルティックではほんとうに活躍しました。ここまで活躍するとは、彼を獲得したストラカン監督も思ってなかったんじゃないでしょうか。「The Zen of Naka (中村の禅)」っていう本まで出ました。
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アイルランドにリアム・ブレイディ (Liam Brady) っていうテレビの解説者がいます。アイルランドには珍しいテクニック系の選手でアーセナルやインテルで活躍したんですが、代表ではフィジカル重視のジャック・チャールトン監督に重用されなくて、ワールドカップにも連れてってもらえませんでした。彼は中村選手のプレイに自分を重ね合わせたのか、こっちが笑っちゃうくらい中村選手をべた褒めしてたりしました。

 

マンチェスター・ユナイテッド戦の FK は語り継がれるでしょう。あー、思い出した。あのとき、FK もらったのはヤロシク選手だったんだけど、ちょっと自分でこけたようにも見えた。その後、キーパーのボルツ選手が PK を止めたんでした。それで、後でイギリスのスカイニュースみてたら、「セルティックは Dubious (あやしい) FK とキーパーの英雄的なセーブで勝った」みたいに報道してた。日本人に活躍されるのがそんなに悔しいかと思ったけど。でもそれは一回だけで、次の回 (スカイニュースだから同じニュースを何回もやる) からは普通の言い回しになりました。

 

 

セルティックは基本ガチムチ系の選手で固めて、いつも一人くらい華奢なクリエィティブ系の選手がいる。モラフチク (最後は JEF 市原に来た) とか、ジュニーニョ (マイアミの奇跡のときにいた) とか、そして中村。これはやっぱりリーグの特性によるものなのかなと思う。

 

スコットランド・リーグはセルティックとレンジャーズってチームが二強で、ほぼ必ずどっちかが優勝します。後のチームはちょっと力が落ちる。だから二強にとっては二強以外のチームに勝ち点を落とさないことが大事になる。つまり点を取って勝たないといけない。サッカーだから、いくら試合を支配しても点がとれないこともある。だから、スペシャルなことができる選手を一人いれとく必要があるのかなと。いや、うまくて強い選手が来てくれればそれに越したことはないですよ。でも、そういう人はもっとメジャーなリーグの凄いチームがいっぱいお金だして買っちゃいますから。

 

相手のレベルがちょっと落ちるから、スペースはあるし、時間的余裕もある。守備はチームメートが体張ってくれる。後ろの席のおっちゃんが守備も褒めてたけど、絶対守んなきゃいけない場所はチームメートがやってくれてて、オプション的にボール取れたらラッキーみたいな局面でいけばいいだけだから、ちょっとその評価は甘いのではないか。

 

スペインでは残念ながら活躍できず、日本に戻ってきたわけだけど、マリノスでは頑張ってください。マリノスにあんまり興味ないのでちょっと棒読みになりました。すみません。

 

さて、問題は日本代表の方ですよね。岡田監督はまだ中村選手を中心に考えているのでしょうか。

 

私からすると、たとえ中村選手が最も成功した選手だとしても、中村選手を中心にチームを組み立てるっていうのはちょっとどうかと思います。チームメートが背骨を組み立ててくれた上で、その上にオプション的に乗っかってこそ彼が生きるプレイ・スタイルだから。

 

たとえば、韓国で最も成功してるのがパク・チソン選手だからといって、彼を中心に韓国代表チームを組み立てたら、それはちょっとチームにならないと思う。それと同じ。

 

あと、性格的にも中村選手はリーダーというよりも求道者のタイプのように見受けられます。ちょっと閑話休題っぽくなりますが、スコットランドに住んでるお友達から聞いたんだけど、水野選手もセルティックにやってきて、彼は屈託のない気さくなあんちゃんタイプらしいのだが、中村選手と家が近かったので、最初は中村選手の車に乗せてもらって練習場に通ってたんだって。でも、しばらくしたら、車に乗ってる時点から精神的な準備が始まってるから、っていう理由で車に乗るのを断られたたらしい。なんか中村選手っぽい話で笑ってしまった。あ、これはまた聞きのまた聞きみたいな話なんで、話半分に聞いといてくださいね。

 

オフトだったら森保選手、トルシエだったら戸田選手、オシムだったら鈴木選手って、MF のアンカーの位置に「俺が屋台骨支えてやるぜ」っていう選手が必ず入ってる。サッカーのうまさだけで言えば、この 3 人は監督違ったらベンチにも入らなかった可能性あるでしょ。

 

いまだったら、その役割を長谷部選手にやらせるって腹くくっちゃった方がいいんじゃないのかな。彼の周りにチームを組み立てる。中澤選手をお目付け役やってもらって、本田選手をサブ (長谷部選手の交代要員じゃなくてピッチ上の補佐役、精神的な) につけたほうがうまく回るんじゃないだろうか。

 

ワールドカップに行ったら日本は絶対相手に押し込まれる。中村選手のプレイ・スタイルはいわゆる「贅沢品」。彼が日本のサッカーにこれまで多大な貢献をしてきたことは疑いようのないことだけど、でももっと守備の固い「必需品」の選手を入れた方がいいんじゃないかっていう判断はあっていいと思う。

 

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