これは、火曜日のアイリッシュタイムズにも載ってた写真です。前日の月曜日に、アメリカの MLS (メジャー・リーグ・サッカー) で昨シーズンのチャンピオンとなった LA ギャラクシーの選手たちがホワイトハウスに招かれ、オバマ大統領と面会したというニュースです。チーム・キャプテンである我らがロビー・キーンが、オバマの名前が入ったレプリカを手渡しています。
キーンがギャラクシーに移籍したのが 2011 年夏ですから、もう 3 年半になりますね。イングランドのプレミアリーグから MLS への移籍となりますと、やはりちょっと都落ちという感じがするんですね。情報もあまり入ってこなくなるし、どうやってるんだろうと思ってたら、去年の 12 月にロビー・キーンと MLS に関する記事がいくつも新聞に掲載されました。キーンがリーグの年間最優秀選手 (MVP) に選ばれ、彼の所属するギャラクシーが、シーズンのチャンピオンを決めるプレーオフで優勝したからです。
このプレーオフ決勝戦は試合経過も凄くて、ギャラクシーが 52 分に先制したけど、ニュー・イングランド・レボリューションが 79 分に同点に追いつき、そのまま延長戦へ。勢いがあるのはレボリューション。マークを外して同点ゴールを許したディフェンダーが不安そうにキックオフの前にキャプテン・キーンに話しかけます。「もし、ウチが点を決めなかったら。。。」。
「Don't Worry. I'll score (心配するな。おれが決めるから)」
延長後半 6 分、相手右センターハーフの裏をとったキーンが中盤からのパスをうけてゴール。そのままギャラクシーは逃げ切り、キーンはこの試合でも MVP に選ばれました。
ロビー・キーンのゴールシーンはこちら↓。実況がプロレス風。
https://www.youtube.com/watch?v=hHuVGav3ro4
https://www.youtube.com/watch?v=hHuVGav3ro4
12 月の一連の記事は、キーンのことだけでなく MLS のこともいろいろ書いてあったので勉強になりました。MLS はサラリーキャップ制ですから給料がそんなに高くないんですね。選手の平均給与は 22 万 6000 ドルで、イングランド 2 部リーグの 3 分の 2 ほど、メキシコやオランダの 1 部リーグの 2 分の 1 ほどです (Wikipedia より)。
ただ、これだと有名選手を呼べないので、各チーム最大 3 人までサラリーキャップにとらわれずに選手と契約できます。Designated Player とか Marquee Player とか呼ばれるんですが (日本語だと「特別指定選手」)、キーンももちろんそうだし、ベッカムとかティエリ・アンリとかもそうでした。
キーンの給料は年に 450 万ドル (1 ドル 100 円計算で 4 億 5000 万円) ですが、一番給料が安い人は 400 万円ぐらいです。飛行機の席も違っていて、特別指定選手はファースト、その他の選手はエコノミーです。記事によると、そんなことしたらイングランドなら文句が出て収拾がつかないだろうけど、アメリカの選手は「いつかはおれもその席に座ってやるからな」というメンタリティなのだそうです。ちなみに、同じくギャラクシーに所属していたベッカムは、チームメートとステーキを食べにいったときに代金を自分でもたなかったので、元主将のランドン・ドノバンに凄く怒られたそうです。
ロビー・キーンは MLS で非常に高い評価を受けているのですが、その理由はまず第一にプロフェッショナルな振舞い。ヨーロッパで活躍した選手は、MLS にくると、ちょっとリーグを「なめて」しまう、またはリーグのレベルに欲求不満を募らせてしまう、みたいなことがよくあるらしいのですね。おばあちゃんが死んだから国に帰ると言って帰ったかと思ったら自分が昔所属してたチームの試合を観戦してたりですね。キーンは試合にも練習にも手を抜かない。ギャラクシー監督のブルース・アレーナによれば、「He sets the tone for our team each and every day (彼は毎日チームの雰囲気を作り出して引き締めてくれる)」だそうです。
また、戦術的にも、フォックス・スポーツの解説を務めるアレクシ・ララス (アメリカ '94の時の彼のヘアスタイル、覚えてますか?) によれば、「もしプレイヤーを1人チームに加えられるとしたら、誰を獲るか」という質問をすると、すべてのコーチが「キーン」と答えるそうです。それほどピッチ上での彼のインテリジェンスはリスペクトされている。
キーンにとっても、MLS への移籍は自分を再発見する契機ともなったようです。イングランドにとどまっていれば、たぶん優勝争いとは関係のない、たとえばアストンビラみたいなチームでプレイして勝ったり負けたりみたいな毎日だったでしょう。しかし、ギャラクシーでは押しも押されぬ中心選手です。大西洋のこちら側では、いまだに少年ぽくてすばしこいというのがキーンのイメージですが、彼はアメリカではキャプテンであり、リーダーであり、レジェンドです。チームメートが彼を描写するために使う言葉は、「He is our rock」であり、「He is a beast」です。
Robbie Keane reinvents himself as leader and legend in America
http://www.irishtimes.com/sport/soccer/robbie-keane-reinvents-himself-as-leader-and-legend-in-america-1.2030440
http://www.irishtimes.com/sport/soccer/robbie-keane-reinvents-himself-as-leader-and-legend-in-america-1.2030440
Robbie Keane: An outstanding star in the Galaxy
http://www.independent.ie/sport/soccer/other-soccer/robbie-keane-an-outstanding-star-in-the-galaxy-30805062.html
http://www.independent.ie/sport/soccer/other-soccer/robbie-keane-an-outstanding-star-in-the-galaxy-30805062.html
Robbie Keane rules out mid-winter return to Premier League
http://www.irishtimes.com/sport/soccer/robbie-keane-rules-out-mid-winter-return-to-premier-league-1.2046894
http://www.irishtimes.com/sport/soccer/robbie-keane-rules-out-mid-winter-return-to-premier-league-1.2046894