たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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ジョゼフ・オコナー

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クロアチアからダブリンに戻ってくる飛行機の中で機内誌をめくっていたら、ジョゼフ・オコナー (Joseph O’Conner) のインタビューが載ってた。

ジョゼフ・オコナーはアイルランドの小説家で、40 台半ばぐらい。日本語にも何冊か翻訳されているはずです。日本人に紹介するときは、ちょっと失礼なんですが、歌手のシネイド・オコナーのお兄さんというと、みなさん「あー」と言っていただけます。

アイルランドに来た当初、2 年くらいほとんど仕事もせずにブラブラしていた時期があったんですが、同世代の作家ということもあり、よく読んでいたのがジョゼフ・オコナーです。小説もよかったし、軽妙洒脱なエッセーも面白かったです。

オコナーさんは、若い頃からアイルランドでは名の知れた書き手だったんですが、本の売り上げはそこそこという状態がずっと続いていました (アイルランドはそんなに人口いませんから)。転機は、2002 年に「Star of the Sea」という小説を発表したときに訪れました。彼の十代の頃のヒーローでもあったボブ・ゲルドフ (ミュージシャン、Band Aid の発起人) がイギリスのある番組で「この本、いいよ」と紹介したのです。文字通り、一夜のうちにこの小説はベストセラーとなり、今では 20 か国語以上に訳され、合計売上部数は 100 万を突破したそうです。2007 年に発表した続編、「Redemption Falls」も高い評価を受け、来年には「Star of the Sea」から続く三部作の完結編となる作品が発表さます。

今回のインタビューで印象に残った彼の言葉は、「昔、書いたエッセーを読むと、恥ずかしくなることはある。一段落にひとつはジョークが挟まれていて、まるで、お願いだからもう一段落は読んでください、と読者に媚びているようだ。あれは、自信のなさの現れだったねー」(実際の雑誌が手元にないので、うろ覚えです) というところです。私も昔は文章を書くときにしょうもない冗談をいっぱい挟んだりしてたんですが、あれは自信のなさの表れだったのかと。確かに内容さえ身のあることを書いていれば、表面的なジョークなんかはなくても読んでる人はちゃんと読んでくれますから。

あとはですねー、ジョゼフ・オコナーについては恥ずかしい思い出があるんです。アイルランドに来たものの、何をしたらいいのかわからなくて、奨学金もらって大学院でもいこうなんて甘く考えたわけです。日本にいたとき、それっぽい関係の仕事をしていたので、映画関係の学科の大学院に行こうと。今あるかどうかわかりませんが、アイルランド政府が出してくれる奨学金があったんですね。審査は日本であって、アイルランド大使館で日本の文部省のお役人さん相手にインタビューされたわけです。私は何をプレゼンしたのかよく覚えてないんですが、国民文化における映画の重要性みたいな抽象的なことをしゃべったんじゃないかなー。それで、なぜかジョゼフ・オコナーの本取り出して、この本を映画化したいみたいなこと言ったかなー。いやそこまでは言わなかったと思うんだけど。それで文部省の人に「はー、映画を観にアイルランドの大学院行くんですか」みたいなこと言われて、いや、今思い返すとほんとうに恥ずかしいです。