たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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イニスキーンのパトリック・キャバナー・センター

1989年発行の宮崎昭威著『鉄道・バス利用のアイルランドの旅』に「イニスキーン(Inniskeen)の村には郷土博物館があり、博物館内に、詩人で小説家のP. カバナ (Patrick Kavanagh, 1905 -67) の特別室がある」と書いてあります。ただし、夏の日曜日しか開館していないとも書いてあります。

 

調べてみると、現在はパトリック・キャバナー・センター (Patrick Kavanagh Centre) という名前で平日のみ営業となっています。パトリック・キャバナーはイニスキーン生まれの詩人。父親は靴職人と農業を兼業しており、長男のキャバナーも初期のころは実家の仕事をしながら詩作に励んでいました。

 

日外アソシエーツの『20世紀西洋人名事典』のキャバナーの項には以下のような説明が記載されている。

 

アイルランドの詩人,作家。キンセラ、クラークと並ぶイエイツ以後の代表的詩人で、1936年処女作品「耕夫及びその他の詩」を出版後、ダブリンに出て雑文書きで生計をたてる。詩集には「大飢饉」(’42年)、「売りものの魂」(’47年)、「詩集」(’64年)などがあり、思想を盛り込まず、生き生きとしたリズム感が特色である。作品は詩集のほかに、自伝小説「若き愚か物」(’38年)、小説「タリー・フリン」(’48年)がある。

 

キャバナーの有名な詩に『On Raglan Road』があります。ラグラン・ロードはダブリンのボールスブリッジにある通りの名前。ダブリナーズが昔からあるアイルランドの民謡のメロディーにこの詩をのせて歌い、アイルランドでは知らない人のいないほど有名な曲になりました。ダブリナーズの他にも、ヴァン・モリソン、シネイド・オコナー、エド・シーラン、ビリー・ジョエルなどもこの歌を歌っています。

 

私は昔、ラグラン・ロードとペンブローク・ロードの交わるあたりのところに事務所を借りていたことがあるので、『On Raglan Road』の歌は他人事とは思えませんし、もちろん作者のキャバナーのことも名前は知っていました。キャバナーやラグラン・ロードとかハリントンロードとかボールスブリッジのあの辺に住んでいて、運河のほとりには彼がベンチに座っている銅像もありますね。

 

さて、パトリック・キャバナー・センターはかつては教会だった建物に入っています。1,2億ユーロの補助金を得て 2000年にオープンしました。展示内容はとても充実していて、見ごたえがあります。6台のインタラクティブなモニター装置でキャバナーの生涯をたどり、キャバナーにまつわるさまざまなメモラビリアを見て回り、大画面に映し出されるイメージ映像と共にキャバナー自身や他のアイルランドの詩人がキャバナーの詩を朗読するのを聴くことができます。私は1時間ほど使って減額しました。入場料は10ユーロ。

パトリック・キャバナー・センター

 

 

パトリック・キャバナー・センターはかつては教会でしたから、裏手には墓地があります。パトリック・キャバナーもここに埋葬されています。彼のお墓にはとても小さな十字架が立てられていました。

 

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