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なぜ福建省福州市の警察出張所がケーペル・ストリートにできたのか

 

中国福建省福州市の警察出張所がダブリン7のケーペル・ストリートにできたという。福州市はこうした出張所を既に21か国30か所で開設しており、中国のほかの市も同様の施設を展開している。

 

表向きの理由はわかりやすい。海外に住む同市出身の中国人にさまざまな行政サービスを提供するためである。運転免許証の更新や犯罪履歴がないことの証明書発行などである。特に、この2年はコロナのせいで帰国がままならなかったため、こうしたサービスへの需要は高まっているらしい。

 

福建省は移民の多い地域で、福州市の出身者はアイルランドにも数多く住んでいるとのこと。

 

 

しかし、人権活動家は中国のこうした動きに深刻な懸念を抱いている。海外在住の中国人を監視・管理するために当局がこうした出張所を活用するのではないかという心配である。

 

中国の警察は、海外に逃亡した犯罪容疑者に帰国して裁判を受けるように"促す"ということをするらしい。その手段には、中国にいる容疑者の子供が教育を受ける機会を奪ったり、家族が起業する機会を奪ったりというのも含まれるらしい。

 

中国当局によれば、2021年4月以来、国外から約23万人が”説得”されて中国に帰ったという。その多くは、中国人をターゲットとした電話詐欺の容疑である。

 

ダブリンの出張所には実際に警官が常駐しているわけではない。これまでにあった郷土会みたいなところがボランティアとしてこうした仕事を請け負っているとのこと。

 

アイルランドの公安当局にも話は通しているのだが、人権活動家によると、警察・司法に関する二国間の協力関係を回避し、国際的なルールに違反する形で海外在住の中国人を監視する目的でこうした出張所が使われているとのこと。

 

アイリッシュ・タイムズの取材に匿名で応じた中国人や台湾人によると、”説得”されてアイルランドから帰国した中国人の話は聞かないが、中国政府の権力が及ぶ範囲が拡大していることは心配しているとのこと。

 

人権活動家によると、中国の体制が倒れるときはその動きはだいたい国外から来るので、中国は海外での動きに伝統的にパラノイアになる傾向があるのだそうだ。

 

www.irishtimes.com

 

追記: 今日(9/27)の午前中にケーペル・ストリートに行ってみたら、警察出張所の看板は既に取り外されていた。GOOGLE MAP で過去の画像を見てみると、2022年7月の段階では看板あり、2022年2月の段階では看板はない。

 

 

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