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アイルランド総選挙

2月8日の土曜日にアイルランドで総選挙がありました。選挙公示前は野党第一党のフィアナ・フォイルが優勢と予想され、160議席中五十数議席を取って勝利すると考えられていたのですが、選挙戦が始まってからシンフェイン党の支持率が急上昇。結果は以下のようになりました。

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伝統的な二大政党であるフィアナ・フォイル(FF)とフィネ・ゲール(FG)、そしてシンフェイン(SF)がほぼ横一線で並んでいます。フィアナ・フォイルの当選者数には無投票で選ばれた議長が1人含まれていますから、議員の数としてはFFとSFの数は37で同じになるんですね。


いや、しかし、今回のシンフェインの躍進ぶりは凄いですよ。出口調査の結果によりますと、首都ダブリンで最も支持率が高いのがSF。また、全国レベルで見ても、18歳から64歳まで、つまり年金世代を除くすべての年齢層でSFの支持率がトップです。特に18から34歳の年齢層では断トツです。

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選挙戦が始まってからの人気急上昇はSFにとっても予想外だったため、十分な候補者数を立てていなかったため当選者数は37にとどまりましたが、もっと積極的に候補者を立てていたら、当選者数は四十台半ばにまで達していただろうとのこと。


さて難しいのは連立の組み方です。FFとFGは、SFとは連立組まないといって選挙運動したから、数が揃うからとSFとの連立に飛びつけば節操ないと思われる。かといって、FFとFGの大連立もなあ。選挙結果が出た時点での本命はFF/SF/緑の連立で3倍だったのだが、今見たらFF/FG/緑の連立が一番人気でやはり3倍となっていた。

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SFは「変化」をテーマに選挙戦を戦ったのだから、まずはFFとFGを含まない連立内閣を組むことを目指すとしていたのだが、これは数的には難しい。一方で、投票者の4分の1近くが支持した党との連立を拒むFF/FGの態度を非民主的と非難し、FF/FGと連立組むことにもオープンな構え。


左翼政党(小政党がいくつかある)は、SFも含めた左翼政党の結集を呼び掛けるが、ここで持ち上がる疑問はSFは左翼政党なのか、という点。開票速報番組でも司会者にこの点を突っ込まれていた。


アイルランドの左翼政党が主に話すのは経済/暮らしのことであり、イギリス労働党左派やアメリカ共和党左派のようにイデオロギーの話をすることはあまりないので、聞いていてもそれほどうんざりしない。逆に、極右/反移民政党もまったく奮わず。つまり、右も左もアイデンティティ・ポリティクス・プレイヤーはアイルランドでは存在感なしということだ。

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おもしろかったのは、キルデア・サウス選挙区からシンフェイン公認で立候補したパトリシア・ライアン候補(下の写真左)。クリスマスに息子から旅行をプレゼントされたのだが、日程変更できないからと、選挙運動期間の最終週に海外休暇旅行に出かけ、対立陣営などから批判された。ところが見事トップ当選。ライアン候補: “my family comes first, my politics comes second”



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