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モーリーン・クリーヴさんの訃報 - ジョン・レノンが「キリストより人気がある」発言をしたときのインタビュアー

 

 

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ジョン・レノンが「ビートルズはキリストよりも人気がある」とイギリスのイブニング・スタンダード紙のインタビューで語り、それがアメリカをはじめとするキリスト教国で大問題になったことがあります。1966年のこと。そのときのインタビュアーだった同紙記者のモーリーン・クリーヴさんが87歳で亡くなったという訃報がアイリッシュ。タイムズ紙に掲載されていました。

 

www.irishtimes.com

 

クリーヴさんはお母さんがアイルランド人、お父さんがイギリス人の軍人で、1834年にインドで生まれました。子供の頃に母親の実家があったスライゴーで暮らしたことがあり、学校はアスローンの寄宿学校に行ったそうです。大学はオックスフォードで歴史を学んでいます。

 

クリーヴさんが「キリストよりも人気がある」のインタビューを取ったのはたまたまではなく、ビートルズが最も信頼するジャーナリストの一人が彼女であったということです。

 

大学卒業後にイブニング・スタンダード紙に秘書として雇われたのですが、編集者にポップ・ミュージックに関するコラムを書かせてほしいと頼み込み、「ディスク・デイト」というタイトルで連載を始めました。その仕事でリバプールに向かったのが1963年。デビュー間もないビートルズのファン熱の高まりを「Why the Beatles create all that frenzy」という記事にします。

 

その後の数年間、彼女はビートルズについて記事を書き続け、メンバーとも友人のような関係となります。彼女によれば、彼らは他の誰よりも楽しい人たちで、たわいないいたずらをするのが大好きだったようです。コートをくず入れの中に入れられたり、結婚しようと言われたり、商売道具のノートと鉛筆を取り上げられたり、持ち上げられて別のところに移動させられたり、髪の毛を切ってくれとせがまれたりとかです。しかし、とても親切にしてくれるときもあり、タバコをくれたり、コーラを一口飲ませてくれたりなど、彼女がひとり取り残されたりしないように気を遣ってくれたりもしたそうです。

 

「ハード・デイズ・ナイト」の一節は彼女が書き直したといいます。レノンの歌詞は、” I find my tiredness is through / And I feel all right” だったのですが、彼女はそれを “I find the things that you do / Will make me feel all right” と 軽いタッチに変えたそうです。

 

ジョン・レノンは「ノルウェーの森」は彼女との情事について書いたものだと言ったことがあるのですが、クリーヴさんはレノンと関係があったことを否定。後にレノンも「誰のことを書いたのか忘れてしまった」と発言を取り消しています。

 

クリーヴさんは1966年に結婚し、旦那さんの仕事の都合で一時期ペルーに住むのですが、イギリスに戻ってからはまたジャーナリストの仕事を再開しました。

 

アイリッシュ・タイムズの記事によると (一部はガーディアン紙からの配信記事)、アーチストにとって答えにくい質問をすることもいとわず、アーチストを持ち上げすぎない 彼女の取材スタイルは、その後の音楽ジャーナリズムに大きな影響を与えたそうです。

 

クリーヴさんには姉妹が2人おり、そのうちの1人、メイビスさんも作家になり、その子供 (つまりクリーヴさんの甥) にあたるヒューゴ・アーノルドさんは、アイルランド人の料理関係のジャーナリスト/コンサルタントです。ヒューゴさんによれば、クリーヴさんは「アイルランドのことがとても好きで、この国に戻ってくるのを楽しんでいました。私の母やもう1人の姉妹であるモニカ・フラナガンとも仲がよかったです」。モニカさんは今メイヨー県に住んでいるそうです。

 

ヒューゴさんは続けます。クリーヴさんは「かなり変わった洋服のセンスの持ち主で、デニムやインディゴをよく着ていました。一度など、長靴下のピッピが履くような縞模様のストッキングで私の通う学校に現れたので、私はバツの悪い思いをしました。いかし、彼女はとても控えめな形でスタイリッシュでした」

 

「食べ物にも関心が高く、野菜をたくさん育てていました。彼女の料理はシンプルですが、良い食材を使うことに気を遣っていました。彼女の台所は広く、快適で、居心地がよく、農家にあるような大きなテーブルがおいてありました。そうしたすべてが私に影響を与えています。彼女にとって重要なのは食べ物ではなく会話でした。良い食べ物は舞台背景で会話がメインなのです。彼女は人に興味がありました。だから彼女の仕事をあれほどうまくやり遂げることができたのです」。

 

クリーヴさんは1990年代に慢性疲労症候群と診断され、2015年に旦那さんと死別してからは認知症も患っていました。3人のお子さんがいるそうです。

 

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