Covid-19ワクチン接種に関するQ&Aがアイリッシュ・タイムズ紙に掲載されていたので、抄訳してみました。
承認済みのCovid-19ワクチンはどのように作用するのか?
欧州医薬品庁 (EMA) がこれまでに承認したワクチンは2種類。ファイザー/ビオンテックのものと、モデルナのもの。両者とも90%以上の効果があり、安全であるとされている。
両者とも mRNA ワクチンと言われるもので、これは新しい技術。これらのワクチンは、Covid-19 という病気を引き起こすウイルスにある「スパイク・タンパク質」を生成するように細胞に指示する。スパイク・タンパク質が生成されると、免疫系はこれを脅威と認識し、抗体とT細胞を生成することで対抗しようとする。これは、ウイルスに感染したときの人体の反応に似たものである。
しかし、ワクチンには、29種類あるウイルスのプロテインのうち1つしか含まれていないので、ワクチンを接種した人は病気にはならない。つまり、Covid-19とどう戦うべきかを人体に指示しているだけである。これが、mRNAワクチンが人体を守り、ウイルスに感染するリスクを90%以上下げる仕組みである。
どちらのワクチンも、効果を最大にするために、数週間あけて2回打つ必要がある。
ワクチン接種を受けた後、人にウイルスを移すことはなくなるか?
これについては研究者が現在も調査中で結論は出ていない。ワクチンを研究しているUCDのアン・ムーア博士は、ワクチン接種済みの人からの感染を抑えられる可能性は小さいのではないかと見ている。一般的に、ワクチンを打っても上気道の粘膜はあまり免疫反応を示さないことが多い。したがってウイルスは増殖し、他の人に移る可能性がある。
これについては現在も研究中であり、確かな結果がでるまで、ワクチンを接種した人もソーシャル・ディスタンスなどの拡散防止ガイドラインを遵守すべきである。
感染を防ぐことを主な目的としたワクチンも現在開発中だそうだ。
現在のCovid-19ワクチンが感染も防ぐかどうかがわかるのはいつ頃か?
ムーア博士によれば、これには時間がかかりそう。ワクチン接種を受けたコミュニティで感染レベルが下がったかどうかを調べるには、集団ベースの調査が必要だから。
Covid-19ワクチンの効力はどれくらい続くか?
これについてもまだ不明。6か月から18か月続くのではないかという早期エビデンスもあるようだが、はっきりしたことを言うにはもっとデータが必要。UKの調査では、Covid-19に感染した医療関係者は、その後の6か月間でもう一度感染するリスクが大幅に下がっているとか。
Covid-19ワクチンは新しい変異株にも効くのか?
端的に言えば、ワクチンが変異株に効かないという証拠は見つかっていない。ウイルスが変異するのは通常のことであり、Covid-19を引き起こすウイルスにも変異株がいくつか存在する。感染力の強い変異株が3つあるが (イギリス株、南アフリカ株、ブラジル株)、これらが病状を深刻化させることはないようである。
Covid-19ワクチンはパンデミックにどのような影響があるのか?
マイルストーンがいくつも設定されている。まず、ワクチンを打って、医療関係者および医学的に脆弱な人を守ること。これによって、リスクの高い人が病気になったり、それよりひどいことになったりするのを防ぐことができる。
次に、国内的および国際的に多くの人がワクチンを接種し、生体的なバリアを形成することで、ウイルスの拡散を防ぐこと。ワクチンの効かない変異株が出てこないことを望みたい。ベスト・ケース・シナリオは、なるべく早くワクチンによる集団免疫を獲得すること、とムーア博士は言う。
ワクチンによる集団免疫を獲得するためには人口の何%がワクチン接種する必要があるか?
アイルランド、または世界で何%の人がワクチンを接種すれば集団免疫を獲得できるかは、今のところわからない。人口規模や環境によって大きく異なってくるだろう。ムーア博士によれば、とにかくなるべく迅速にワクチンによる集団免疫を構築していくことが重要。
希望の光
EMA は今月末にミーティングを開き、アストラゼネカ/オックスフォード大のワクチンを承認するかどうか決定する。承認されれば、ヨーロッパにおけるワクチンとの戦いに弾みがつく。
ほかにも何種類ものワクチンが開発中である。GPや薬局も一般大衆へのワクチン提供を開始しようとしており、これが始まればプロセスはさらに迅速化するだろう。
