夏なので怖い話をします。
私は学生の頃、高円寺に住んでいました。
駅の近くに安くておいしいハンバーグ屋さんがあって、よく行っていました。
今でもそのお店はあります。
そのお店はいつも 2 人態勢で、1人がハンバーグをこねたり、グリルしたりするシェフ。
もう 1 人が、注文を取り、お冷を出し、会計したりする係です。
ある日、店を訪れると、変な時間だったせいで、客は私一人でした。
この日はなぜかスタッフも 1 人しかいませんでした。
とりあえずカウンターの席に座ります (この店はカウンターしかありません)。
水をもらい、注文を済ませます。
ところが、何も起こらないのです。
スタッフさんは料理を始めるわけでもなく、手持ちぶさたそうにその場に立っています。
私もお店の人に話しかけたりするタイプではないので、ぼうっと座って待っています。
けっこう時間が経ったと思います。
5分くらい経った頃でしょうか。
私のうしろにあったトイレから、突然、水を流す音が聞こえてきました。
そして、シェフが手をふきながら出てきたのです。
背筋に寒いものが走りました。
シェフは、何事もなかったようにキッチンに入り (オープンキッチンです)、素手でハンバーグをつまんでグリルを始めました。
ハンバーグはいつもと同じようにおいしくて、特に変わったスパイスなどは入っていないようでした。
以上です。