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U2のボノが60歳の誕生日を迎えました

U2のボノがこの日曜日(5月10日)に60歳の誕生日を迎えました。おめでとうございます。

 

U2について個人的な思い出を書きますと、私が初めて買ったU2のアルバムはセカンド・アルバムの『October』でした。日本でのタイトルは『アイリッシュ・オクトーバー』です。日本版が発売されたとほぼ同時に荻窪だかどこかの新星堂で買ったと思います。

 

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渋谷陽一さんがライナー・ノーツを書いていて、ブリティッシュ・ロックについて力説していたのを覚えています。アルバムのタイトルに「アイリッシュ」って入ってるんですけどね。

 

アルバムを聴いてみての感想はと言いますと、私は正直あまりピンとこなかったんですね。Edgeのギターが凄く特徴的だなと思ったくらいでした。それ以降、私はU2の音楽の熱心なリスナーではありませんでした。

 

今になって考えると、初めて聞いたのがセカンド・アルバムだった、というのが良くなかったのかもしれません。たぶんU2の作品の中で『October』がいちばん評価低いんじゃないでしょうか。出会いが良くなかったということで、これは仕方ありません。

 

さて、ボノの誕生日にからめて、フィンタン・オトゥール (Fintan O’Toole) という著名コラムニストがアイリッシュ・タイムズ紙に記事を書いていました。

 

www.irishtimes.com

 

世界レベルでこれほど有名になったアイルランド人は、過去100年で数えるほどしかいないでしょう。世界の多くの人が、アイルランドの想像力や慈悲心の象徴としてボノを見ています。しかし、アイルランド国内では、彼の成功と慈善活動、そして政治的な発言を冷笑的な目で見る人が少なくありません。オトゥールはその理由を考察していきます。

 

私なりにざっくりと要約したいと思います。

 

ボノには、いかにもロックスターらしい部分と、そうでない部分があります。ロックスターらしい部分は、何をやるにしても大げさなところですね。そしてエゴが強大です。たとえば、1984年、駆け出しのボノは、スレーン・キャッスルでのボブ・ディランのコンサートに飛び入りで参加することが許されました。ディランとのデュエットで「風に吹かれて」を歌ったのですが、ボノは勝手に歌詞を変えて歌っちゃったのですよ。曲の作者で大スターのディランが横にいるのに。

 

faroutmagazine.co.uk

 

ロックスターでない部分をあげれば、ボノにはバッド・ボーイのイメージがないのです。酒やクスリの問題はほぼなかったと思います。女性関係の噂はあったかもしれませんが、ティーンエージャーの頃からの彼女と結婚し、子供も問題なく育っています。

 

こうしたロックスターにそぐわない部分をボノが捨てなかった理由は2つある、とオトゥールは書きます。1つ目は、14歳のときの母親の死。2つ目は、生きる意味の探求というキリスト教的な価値観です。それは、母親の死によってできた心の穴を埋めるために重要な役割を果たしました。黒人音楽やカントリー・ミュージックなら別ですが、白人のロッカーにとって宗教というのはクールなイメージのものではありません。

 

ボノはお父さんがカソリックでお母さんがプロテスタントですが、ボノの宗教観は基本的に福音主義プロテスタントだそうです。ボノがアメリカで政治的な影響力を発揮できた理由はこれです。ジョージ・W・ブッシュ大統領と並んで写真を撮って、アフリカへの援助を約束させたりですね。

 

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ところが、カソリックの国とはいえ、宗教の重要性が急速に失われているアイルランドでは、ボノの宗教的なミッションは理解されにくくなってしまった、というのがオトゥールの結論です。日本と比べてみれば、今でもアイルランドでは宗教が大きな意味をもっているように見えますけれどもね。

 

私もボノの正義漢ぶりっこは鼻につくなあと思っていたクチなんですけど、この記事を読んで少し納得できる部分もありました。姿かたちはロックスターだけど、心はカントリー・ミュージック・シンガーなんだと思えば腑に落ちるんですよね。ボノの慈善活動や政治への働きかけは、かっこつけでやってたんじゃなくて、無様に見えようが真摯な気持ちでやっていたのだとしたら、考え方を変えないといけません。

 

私が個人的に好きなアイルランドのミュージシャンはポーグスのシェーン・マガワンです。初めて聞いたポーグスのアルバムは2枚目の『ラム酒、愛、そして鞭の響き』でしたが、衝撃を受けましたね。だけど、イギリスの人に聞くと、ポーグスはイギリスのバンドだって言うんですよね。メンバーがほぼ全員イギリスの出身だから。

 

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