たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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映画「Killing Bono」

キリング・ボノ
監督: Nick Hamm
出演: Ben Barnes
Robert Sheehan
Martin McCann

 

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物騒なタイトルですけどコメディーです。Bono はもちろん U2 のヴォーカリストであるところのボノさん。

 

原作はニール・マコーミックという人の「Killing Bono: 私はボノのドッペルゲンガーだった」という回想録です。ただし、ある程度、事実ではない映画的な脚色が付け加えられてると思います、たぶん。

 

マコーミックさんは、ボノと一緒の学校に通っていて、U2 結成の頃からの友だちです。彼自身もバンドやってました。実際に彼の弟のアイヴァンは、ドラマーのラリー・ミューレンが貼り出したバンドメンバー募集告知に応募し、最初の数週間だけ U2 (当時はそういう名前ではなかったけど) の練習に参加していました。

 

U2 があっという間にスターダムに駆けのぼるのを横目で見ながら、マコーミック兄弟のバンドも U2 に負けないぐらいビッグなバンドになろうともがくのだけど、バンドリーダーのニールが見栄と身勝手と欲深さから、ここぞというところでいつもダメダメの決断を下してしまい、バンドは袋小路にはまりこんでしまいます。

 

映画の最初の 3 分の 1 くらいは、ロックバンドをテーマにしたドタバタ青春コメディーかなと思ってみていたんですが、その後は俄然おもしろくなります。ボノへのコンプレックスを介してしか自分を見られないニールのアイデンティティ・クライシス、それから兄弟間の愛憎。兄弟が喧嘩するきっかけがとても説得力があって、それがボノとアイヴァンの会話の中で解消するんだけど、それがいい感じなんです。

 

ボノを演じたのは、北アイルランド出身のマーティン・マッキャンという役者さんです。(上のポスターの左下の人)

 

私はボノを実際に見たことないんですけど、ボノに会った人によると第一印象は「背が低い」だそうです。マッキャンは顔も似てるんだけど、ニールやアイヴァンに比べてぐっと背が低いんですよ。それから劇中、ボノの記者会見シーンがあるんだけど、記者が「あなたは世界最大 (biggest) のロックスターになろうとしているわけだけど」と振ると、ボノが「いや、私は身長が 170cm そこそこしかないから最大にはなりようがないんだけどね」と笑いを取るシーンがあります。彼が実際に 170 あるかないかはさておき、U2 がすごいバンドにもかかわらず、ひたすら神格化するのではなく、そういう欠点も出しちゃうところがいいですね。その方がボノが身近に感じられます。ギグの帰りのバスの中で、ステージネームを「ボノ」、「エッジ」にするんだとアナウンスして、仲間に笑われるシーンもあります。

 

私はダブリンに住んでいるし、それからこの映画の背景となった 70 年代パンクから 80 年代ニューウェイブのあたりをほぼリアルタイムで体験してるので、余計にこの映画が面白く感じられたのかもしれませんけど、バンドやってた人、それから U2 が好きな方はこの映画は楽しめると思います。

 

アイヴァン役を演じたロバート・シーハンはアイルランド若手俳優の注目株です。次世代のキリアン・マーフィーになるかもしれません。

 

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北アイルランドの映画庁が資金を出してるので、ロケ地は残念ながらダブリンではなくて北アイルランド。先ごろ亡くなったピート・ポスルスウェイトの遺作でもあります。

 

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