まず、こちらの記事なんですけど、今回の新型コロナウイルスに感染した人は、保有するウイルスの数がインフルエンザなどに比べて非常に多いとのことです。
ベルギーの研究者によると、インフルエンザなどでは、高齢者の保有するウイルスの量は若者に比べてかなり少ないそうです。これは、高齢者の粘膜は若者より乾いているので、ウイルスがあまり増殖できないからではないかと考えられています。
ところが、今回は高齢者のウイルス量も若者と同じくらい多い。インフルエンザだとウイルス量が少ないので高齢者が人に移すことはあまりないそうですが、今回は大いにある。それが、老人ホームなどで集団感染が多く発生している原因なのではないか、とのことです。
また、同じ記事に書かれていることですが、ドイツの研究者によると、今回のウイルスは肺に届かなくても喉だけで増殖するそうです。他のウイルスの3倍くらいの量が喉にいる。それが、症状が軽くても感染力がある理由らしい(肺に届いてないから症状が軽い)。くしゃみや咳だけでなく、話すだけで十分に感染する可能性がある、とこの研究者は言っています。
さて、次の記事。
アイルランドでは、新型コロナウイルスの感染者はダブリンを中心とした東部に集中しているんですね。田舎の西部は少ない。で、西部のクレア県というところにキルキー (Kilkee) という街があって、ダブリン近辺に住む人でここにホリデー・ホームを持っている人も多い。ホリデー・ホームというのは、休暇を過ごすための、まあ別荘です。日本語の「別荘」で思い浮かぶ家よりもたぶん小さいものですが。
この週末はイースターでロング・ウィークエンドなわけですが、人の移動を最小限にするために、ホリデー・ホームへの移動も禁止されています。それでも、キルキーのホリデー・ホームにやってくる人がいるみたいなんですよ。
それで、住民の中にこんな張り紙をする人が出てきました。
「ホリデー・ホームのオーナーの皆さん。(中略)おうちに帰ってください。正しいことをしてください。キルキーから出ていけ。今すぐだ。帰らないのなら、この危機が終わって、夏にまたここに来たとき、ホリデー・ホームがあると思うなよ」
きついですね。「帰れ」の意味で「Fxxk off」という言葉を使ってますし。
もちろん住民の大部分はこの張り紙に反対しています。たとえば、キルキー商工会議所はこの張り紙は「無意味で、逆効果で、犯罪的な行為」と非難しています。
また、ピース・コミッショナーのマイク・テーラー氏はこう言っている。「これは貴重な警察の時間を無駄に使わせている。ホリデー・ホームのオーナーは家にいるべきだという気持ちはわかる。しかし、お酢よりもハチミツの方が多くの蠅を捕まえることができるんだ」。
「お酢よりもハチミツの方が多くの蠅を捕まえることができる」(you can catch more flies with honey than vinegar) という表現は初めて聞きました。
ピース・コミッショナー (Peace Commissioner) というのはアイルランド独特の制度で、地域の名士みたいな人がやる名誉職。法律的な権限もちょっとあるみたいなんだけど、私も詳しくはよくわかりません。
まあ、皆さん、外に出たい気持ちはわかりますが、おうちにいましょう。
それでは、最後の記事。
不要不急の外出を抑えようということで、あちこちにお巡りさんの姿を見かけます。幹線道路では検問所も設けているようです。
アイルランド西部のメイヨー県で、検問に引っかかった車の中から、密輸入した20,000本のタバコが見つかったそうです。これは、税額にして10,600ユーロの損害を国に与えるとのこと。
この非常事態にも、まぬけな人はまぬけなことをするようです。