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BCGワクチンは新型コロナウイルスに効くのか?

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BCGを接種していると新型コロナウイルスにかかりにくいのではないかという話、最初に聞いたときは私もたまたまだろう、ぐらいに考えていたのですが、最近では疫学の研究者さんたちも真剣に検討されているようです。オーストラリアなどでは医療従事者にBCGワクチンを投与する試験が始まっています。

 

アイルランドでは2015年までBCGワクチン接種が必須であり、それよりもずっと前に接種を取りやめたお隣の英国に比べて、感染率が明らかに低いようです。2015年にアイルランドでBCGが必須で亡くなった理由は、単純に結核が少なくなったから。そして、結核が少なくなった理由は、BCGワクチンのおかげで集団免疫ができたこと、そして経済が発展して栄養が良くなったからです。

 

アイリッシュタイムズ紙のWebサイトにも、トリニティ大学のルーク・オニール教授(免疫学)にインタビューするポッドキャストが掲載されていました。

 

www.irishtimes.com

 

オニール先生によれば、アイルランドでは1930年代後半に接種が始まりました。もちろん最初は結核の予防目的だったわけですが、今から25年ほど前に、風疹やマラリアの予防にも効果があるのではないかということが分かり始めました。BCGはどうも結核菌以外の菌、そしてウイルスにさえ効き目があるらしい。

 

現在、コロナウイルスにも効き目があるかについて調べるため、7つの試験が進行中だそうです。上に書いた豪州の医療従事者の試験などです。この結果が出てくるのが7月か8月。効果があることがわかればBCGワクチンを増産し、医療従事者、リスクの高い人(年配者/持病のある人)の順にワクチンを投与していく。それがたぶん9月。BCGワクチンの増産はそんなに難しくはないだろうとのこと。コロナウイルス特定のワクチンができるのは18か月後くらいではないかとのことです。

 

インタビューの最後の方では、トランプ大統領が押しているマラリア治療薬のヒドロキシクロロキンについて語っています。やはり、トランプの言動はここアイルランドでも注目の的なのです。

 

結論から先にいうと、可能性はあるけれど、今の段階では諸手をあげて賛成するわけにはいかないということです。ヒドロキシクロロキンはウイルスに対抗できることと、炎症に効く(肺炎は炎症です)ことという2つの良い点がある。しかし、試験によると軽微ではあるが心臓に副作用が出ることもわかっている、とのこと。

 

日本では、BCGワクチンには日本型、ロシア型、スウェーデン型など数種類の株があり、日本型とロシア型が効いているようだ、との意見も見られますが、オニール先生はそこには触れていませんでした。

 

どうやら、しばらくの間は、ソーシャル・ディスタンシングなどの社会的な方策でウイルスの広がりを最小限に留めながら、専門家の皆さんの研究成果を待つということになるようです。オニール先生も言うように、いくつか試しているもののうち1つでも有効なものがあればパンデミック解決に大きく近づくわけですので希望をもって毎日を過ごしましょう。

 

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