たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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都市のキツネ

1 月 10 日付けのアイリッシュタイムズ紙にキツネの話が載っていた。街なかでキツネをよく見かけると言う話。いつもの第一面さわやか動物記事ではなくて、サイエンス欄に掲載されていました。サイエンス欄なのになぜかやっぱりほのぼのネタになっている。写真がまたとてもいいです。

 

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<<記事ここから>>
人に狩られ、撃たれ、毒を盛られ、罠を仕掛けられる。田舎のキツネはさまざまな生き残りの問題に対処しなければならない。ところが、都市に住む彼らの仲間は、人間と非常に異なる関係を築いている。街や郊外で見かける数少ない哺乳類のひとつとして、ほとんどの人は彼らが周りにいることを嬉しく思っている。

 

世界で最も成功した動物とは、なんらかの形で人間と結びついた動物だ。成功の定義は、ペット、害獣、家畜など、動物のカテゴリーによって異なるが、繁栄した生き物は必ず人間と関わりを持った生き物である。

 

こうした成功の最近の例のひとつはキツネ、つまり、都市のキツネである。この動物に対する人々の感じ方は、どこに住んでいるかによって大きく異なる。街なかでキツネを見たなら、あなたはおそらく傍にいる子供の腕をつかみ、愛おしそうにこの動物を指差すだろう。だが、田舎では状況は少し異なる。

 

「田舎のコミュニティ、特に農家のコミュニティでは、キツネはあまりよく思われていません。これは、キツネが家畜、羊、鶏などを襲うからです」とアイルランド国立大学ゴルウェー校のコリン・ロートン博士は言う。「ほかの肉食動物と同じように、キツネは狂ったように殺します。たとえば、実際に食べるのは 1 羽だったとしても、1 回の襲撃ですべての鶏を殺します。これは野生の自然な衝動です。次の夜に戻ってきて、別の 1 羽を食べられるかもしれないと考えながら、全部殺すのです」

 

街では、キツネはそれほど先のことを考える必要はない。食べ物が周りに豊富にあることを知っているからだ。「都市のキツネは、狭い行動圏しか必要としません。行動圏とは、日常的な活動、主には餌を見つけることですが、これを行うために必要な領域です」とロートン博士は言う。「これは一般的に、食べる物を見つけるためにうろつく必要がないからです」

 

都市のキツネの本当の成功の理由は、その順応性である。「都会の環境は、キツネに優れたリソースを提供します。大きな庭や朽ちた建物など、安全な棲みかが数多くあります。また、接触することがない限り、キツネは人を恐れません」とトリニティカレッジのジョン・ロックフォード教授は語る。「彼らは、典型的な抜け目のないタイプであり、非常に器用な生き物です。また、さまざまな種類の食べ物を食べます。イギリスの調査によれば、ウィーリービン (車輪付きごみ箱) の導入によって餌を見つけるのが以前に比べて難しくなったようです。しかし、私たちはだらしのない人々なので、餌を見つけるのに困ることはありません」

 

19 世紀の半ばに狩りのためにアイルランドに導入されたキツネは、その環境に難なく順応した。「最初の移住者によってペットとして連れて来られたという説がありますが、これは間違いです」とロートン博士は言う。「キツネはペットには向いていません」

 

「何がキツネを都市に追いやり、それがなぜ比較的最近起きたのか。これはいくつかの事象で説明できます」とロートン博士は語る。「まず、20 世紀半ばに都市が膨張したため、キツネの自然な生息地が消失し、家、庭、公園が新しい生息地になりました。また、粘液腫病がウサギに蔓延したため、キツネの主な食糧源が突然失われました (この伝染病は 1954 年にアイルランド政府によって意図的に導入された)」

 

「獲物を失った捕食動物は痛手を被り、ヤマイタチなどは回復するのに長い時間がかかりました。キツネは餌を求めて都市に移動し、代わりの食べ物を見つけたのです」

 

他の国に比べてアイルランドの都会でキツネがそれほど迫害されないのは、ここのキツネは狂犬病を持っていないからだ。もし、この病原体を持っていたなら、彼らの運命はまったく違ったものになっていただろう。「便の中のイヌ回虫など、一般的な病気を抱えていることはあります」とロックフォード教授は説明する。

 

街なかでキツネを見かけることはよくあるけれども、その数についてあまり調査は行われていない。「何匹いるのかはまったく分かりません」とロックフォード教授は言う。「1990 年代には、ダブリン南部のダンレアリで調査が行われました。当時はほとんど関心を引きませんでした。しかし、調査で分かったことは、対象地域において 500 メートルごとに線を引いて格子を作ると、どのマスでもキツネが目撃されていたということです。調査したすべての庭で目撃例があったこともわかりました。また、夜働く人のほうがキツネを見かけることが多かったようです。トリニティカレッジの学長の庭にも巣がありますよ」

 

以上です。