去年の6月頃に、ダブリンの街なかをサムと名付けられたキツネがさまよっていると言う記事を書きました。
そのときの新聞記事では、サムは1歳くらい。ひどい疥癬に悩まされていて、命も危ないくらい。レストランが休業で残飯が出ないのでやせ細っている、みたいな感じでした。
ところが、昨日の新聞によりますと、サムがめでたくお母さんになったようです。
トリニティ大学のグラフトン・ストリート寄りのところに「学長の庭」と呼ばれる場所があるのですが、サムはそこにあるプレハブ小屋の下に巣穴を構えているようです。このあたりには2006年頃からキツネが住み着いているようです。
サムのパートナーはプリンスと名付けられたオスギツネ。こどもは5匹のようです。
サムと5匹の子供たちの様子をとらえた動画は、学長の庭を見下ろす寮の部屋に住んでいる学生のマイケル・ジルナさんにより撮影されました。
Exciting news we've all been waiting on... the fox cubs have arrived, five we think. Congrats #TrinityFox🦊 Sam & Prince 🎉🥳🎊. Huge thank you to student, Michael Gilna for sharing this amazing video with us. pic.twitter.com/XGiGa92bQ8
— Trinity College Dublin (@tcddublin) 2021年4月20日
疥癬に悩まされていたサムに対し、大学のスタッフが抗生物質をまぜたドッグフードのビスケットや調理したチキンを与えたところ、病状は改善したそうです。また、バスに跳ねられたこともあったのですが、命を取り留めたようです。
サムは、昨年 5 月にやせ細った体で死んだ鳩を口にくわえ、テンプルバーをうろついているところをカメラに収められました。それが、ロックダウンを象徴する 1コマとなり、サムは一躍有名人 (キツネ) となったのです。
詩人のデレク・マホーンさんは、それを「A Fox in Grafton Street」という詩にして、「Washing Up」という詩集に収めて出版しました。その一節はこんな感じです。
Sam’s a celebrity fox, an online hero
briefly promoted to the infosphere,
his bold image shared by a world of folks
anxious, like him, for sustenance...
マホーンさんは病気のために昨年10月にお亡くなりになったので、これが最後の詩集となっています。
トリニティ大学の動物学の先生であるコリー・エニスさんは、子ギツネのために犬用ビスケットやチキンをこれまで以上に用意する、としています。しかし、お父さんのプリンス氏も、死んだ鳩やカササギをかいがいしく巣穴に運ぶ姿が目撃されているようです。
私は見逃していましたが、今年の 2 月に、サムがパートナーを見つけてお目出度だ、というニュースが新聞に掲載されていたんですね。