たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

ドラムシャンボのザ・シェッド・ディスティラリー

ドラムシャンボ (Drumshanbo) の町にあるザ・シェッド・ディスティラリー (The Shed Distillery) は 2014 年創業の新しい蒸留所です。まずはジンの製造・販売から開始して、2017年に初のウイスキー、その名もドラムシャンボ・ウイスキーをリリースします。これはコネマラ地方で製造されたウイスキーとしては100年以上ぶりのものだったそうです。2020年にはビジター・センターを開設。その当時のニュースは私もブログ記事に書きました。 

 

蒸留所には来場者用の駐車場があるので車で行くことができますが、私はドラムシャンボの街なかに車を置いて歩いていきました。すぐそこです。蒸留所に向かう坂道にこんな看板がありました。田舎に行くと「牛が横断します」や「鹿が飛び出します」の看板が出ていますが、それに似せた「ツノウサギが飛び出します」の看板です。

 

ノウサギはジャッカロープとも呼ばれますが、米国ワイオミング州に生息すると言われる未確認動物です。いわゆる UMA ですね。なぜツノウサギの看板がここにあるのかというと、シェッド・ディスティラリの製品はツノウサギがシンボルマークになっているからです。雷鳴とどろく嵐の夜にジャックラビットアメリカン・アンテロープが合体して生まれたと言われるツノウサギ。神秘と不思議の象徴であり、アイルランドとアジア (ジンに配合される多くの植物の産地) という 2 つの異なる文化と伝統が、思いがけないひらめきによってひとつになることを表しています。

 

こちらがザ・シェッド・ディスティラリの建物です。正面に見えるのがカフェと土産物屋、そして左側の黒い建物がおそらく製造現場になっているのだと思います。

 

現地に行くまでは見学ツアーに参加するかどうか迷っていたのですが、ちょうど時間が合ったことと、参加人数も大勢いたので参加しました。ガイドさんと1対1とかだと気まずいですから。参加者は20人くらいいて、スペインやオーストラリアから来ている人もいました。ツアー料金は19ユーロです。

 

最初のコーナーではビデオを見せてもらいます。ドラムシャンボの町の歴史と蒸留所の紹介。この蒸留所のオーナーは PJ リグニー (Rigney) という人なんですが、この人はずっと長くベイリーズの海外事業に携わっていたそうです。リグニーさんの好奇心 (Curious Mind of PJ Rigney) がこのエンタープライズを作り上げたというストーリーが展開されます。

 

この蒸留所で作っているジンの名前は「ドラムシャンボ・ガンパウダーアイリッシュ・ジン」(Drumshanbo Gunpowder Irish Gin) というのですが、「ガンパウダー」っていうのは不思議な名前です。これは火薬のことではなくてお茶の一種のガンパウダーティーのこと。お茶の葉っぱを刻むのではなく、1枚の葉っぱを丸めて処理したものです。火薬を入れるパレットに似ていることからこの名前がつきました。

 

ジンにはいろんな植物由来のフレーバーをつけるわけですが、リグニーさんが海外を旅する途中で見つけた彼の好奇心をそそる植物 (その中の1つがもちろんガンパウダーティー)、そしてドラムシャンボの地元でとれた植物を使ってジンを作りあげた、ということになります。

 

そのガンパウダー・ジンというのがこちら。ジンが色付きの瓶に入っているのは珍しいと思います。これは昔の薬の瓶をイメージしたものだそうです (実際の薬瓶はもっと小さいですが)。あと、縦にギザギザが入ってますけど、昔の薬瓶は人が口にしていい薬品はギザギザの瓶、口にしてはいけないものはツルツルの瓶に入れる、と使い分けていたそうです。

蒸留所の見学ツアーはだいたい定型がありまして、最初にビデオを見て、次にウイスキーの製造過程の説明があり、ポットスティルなどの実際の蒸留施設を見せてもらい、最後はウイスキーの試飲という形です。

 

この蒸留所の見学ツアーには上記ももちろん含まれているのですが、ウイスキーの試飲のあとにジンのコーナーも用意されています。上記の定番のガンパウダー・ジン以外にもフレーバーの異なるジンが何種類も製造されています、最適のフレーバーを探し求めて世界を旅するシーク&ファインドの物語が語られるわけです。あと、実際に乾燥した植物の匂いを嗅いだり、所せましと並べられたリグニーさん収集の骨とう品を見ることができます。

 

最後に併設のパブでドリンクが1杯ついてくるんですが、それもジン・ベースのカクテルでした。私は車でしたのでノン・アルコールの飲み物にしましたが。

 

見学ツアーの全体的な満足度は高かったです。工夫を凝らして非常に丁寧に作りこまれているという印象でした。失礼ながらもうちょっとあっさりした感じなのかなと思っていたのですが、蒸留酒を作ることへの情熱と、ツアー参加者を楽しませようとする本気を感じることができました。

 

ギフト・ショップでは招き猫型の特製陶器に入ったジンと、ソーセージ・ツリー・ウォッカの立体冷蔵庫マグネットを買いました。ソーセージ・ツリーというのはアフリカに広く分布する植物で、ソーセージに似た細長い果実がなります。日本名はソーセージノキです。ギフト・ショップの品揃えも豊富で楽しかったです。

 

 

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