たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

Amazon Prime と『アルジェの戦い』

 

 

私は映画を観るときはだいたい映画館に行くようにしています。もちろん大きな画面で見るというのもいいですし、家でテレビや PC で見ていると集中力が続かなくて、つい違うことをしそうになるからです。

  

ところが、ある古い映画を観る必要が出てきまして、先日タワーレコードに行ったんですが、DVD は置いてなかった。しょうがないので家に帰ってきて配信サービスで検索してみると、Amazon Prime で見られることがわかりました。それで、5日間だか7日間だかの無料お試し期間があったので、結局タダで見ることができました。

 

配信サービスを使った感想ですけど、悪くないな、という印象です。ちょっと見過ごしたところを巻き戻して見たりできますし、字幕が出るというのも大きいです。今回見たのはフランス語の映画だったので字幕は当然出して見たのですが、英語の映画でもやっぱり聞き取れないところがありますから。

 

いちおう、無料お試しが終わったら解約する設定にしたんですが、ちょっと契約を考えてしまいます。

 

今回見た映画は『アルジェの戦い』。1966年の映画で、アルジェリアの独立闘争を描いたドキュメンタリー風の映画。戦いの相手はもちろんフランスです。全編アルジェリア・ロケ。エキストラ8万人を動員。出演者はほぼ素人俳優 (多くの場合、セリフはアフレコ)。かなり古いモノクロ映画ですが、今見ても手に汗握るサスペンスの連続でほんとうにおもしろい映画です。たとえば、アルジェリア女性3人が爆弾を仕掛けにいくシーンは圧巻です。西洋風の服を着てフランス人女性のようなふりをして検問をくぐり抜け、盛り場やエアフランスの事業所に爆弾を置きに行くのです (自爆ではありません)。

 

f:id:tarafuku10:20210603231101p:plain

 

実は私は以前、カルチャー教室みたいな感じの脚本教室に通ったことがあります。通うといっても週末2回とかそんな感じだったと思いますが。

 

その中で講師の方が『アルジェの戦い』を見せてくれたんですね。この映画は武力による闘争をテーマとしているわけですから、アルジェリア人の側もフランス軍の側も凄い暴力を使うわけです。暴力を使う人には一般の人はやはり感情移入しにくい。しかし、映画製作者としては観客にアルジェリア抵抗勢力側に感情移入してほしい。ではどうするか。

 

視聴者に感情移入してほしい人たちが酷い目にあっている場面を冒頭にもってくるのです。『アルジェの戦い』の場合は、捕虜が拷問を受けてリーダーの居場所を白状した後のシーンから始まります。で、この捕虜の役者がまたいいんですよ。小柄な中年男で痩せ細っていて、胸には拷問でできたと思われる大きな火傷の後があります。この役者も素人で、実は実生活では刑務所に入っていた人なんですが、監督が顔が気に入ったということで当局にかけあって、撮影期間だけ特別に保釈してもらったそうです。

 

f:id:tarafuku10:20210603231121p:plain

 

捕虜の悲し気な顔。フランス兵のおごった態度。それらが合わさって、観客はアルジェリア人側を応援したい気持ちになってしまうわけです。

 

映画ではこのすぐ後にも刑務所でアルジェリア人の囚人がギロチンに掛けられるシーンが続き、追い打ちを掛けます。

 

今回、『アルジェの戦い』を見直したのは、この冒頭のシーンが具体的にどんな感じだったかを確認したかったからです。

 

アイルランドのつながりで言うと、ケン・ローチ監督の『麦の穂を揺らす風』でも冒頭シーンでアイルランド人の若者が理不尽に殺されて、観客は一気にアイルランド人側に感情移入していく仕掛けになっていたと記憶しています。

 

というか、今スクリーンショットを撮ろうと思って Youtube を見ていたら、『アルジェの戦い』の全編がアップロードされていました。こちらからどうぞ↓。

 

www.youtube.com

 

 

 

 

アイルランド情報 人気ブログランキング - 海外生活ブログ