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アイルランドの帰化の取り消し手順が見直されます

 

 

外国人がアイルランド帰化して国籍を取った後、なにか問題があると法務省はその帰化を取り消すことができます。

 

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それで、いま問題になっているのは、アルジェリア生まれで2008年にアイルランドの国籍を取ったアリ・ダマシュという人の件。この人は、アメリカでテロ集団を助けたとして逮捕され、罪状を認めて服役しています。

 

アイルランド政府は2018年10月に、アイルランドという国に対して背信行為を働いたということで、国籍を取り消す意図があることを通知しました。

 

ダマシュ氏の弁護士によると、彼にはフランスに子供がおり、アイルランド国籍を取り消されると、刑期を終えた後に子供に会いに行くのが困難になるとのこと。それで、この取り消しは違法であると裁判所に訴えていたわけです。

 

現在の法律では、法務大臣が取り消し手順を開始し、取り消すかどうかを決定できます。3人で構成される調査委員会というのが設けられるのですが、法務大臣はこの委員会の調査結果に拘束されることはありません。

 

昨年の10月、裁判所は、この手順は憲法に違反するという判決を下しました。取り消しによって深刻な影響を受ける個人には、最低限の保護措置が必要だというわけです。

 

それで、昨日のことですが、憲法に違反するのは法律のどの範囲かという決定が出たのでニュース記事になっていました。

 

www.irishtimes.com

 

問題になっているのは、アイルランド帰化および国籍法の19条の2項と3項なのですが、法務省の方は、この項の中の憲法違反の部分だけを抹消すべきだ、という主張。ダマシュ氏側は2項と3項全体を抹消すべきという主張。最高裁判所はダマス氏側の主張を支持しました。

 

19条は帰化の取り消しについて規定した条文、その2項と3項はその手順を規定した項目です。

 

エリザベス・ダン裁判官によれば、これは手続きに関する判決であり、国籍を取り消す権力自体に疑問符を付けるものでも、取り消しの理由が不適切であったというものでも、この件において大臣が取り消しプロセスを開始したことが間違っていたというものでもないとのこと。

 

19条の1項を残して2項と3項を取り消した状態にしておくと、安全措置がまったくないまま国籍取り消しが行われるのではないかというダマシュ氏側の懸念については、適切な安全措置なしに帰化の取り消しが行われることはありえない (inconceivable) と同裁判官は言っています。

 

アイルランド政府は、新しいプロセスの策定を急ぐことになります。

 

 

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