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コロナ後の世界

 

 

医療問題の記者で医学博士のモーリス・ヒューストンさんが、コロナ後の世界はどうなるのかについてアイリッシュ・タイムズに予測記事を書いていたのでご紹介します。

 

www.irishtimes.com

 

まず、パンデミックが終わっていつ普通の生活に戻れるのか、というのが皆さんの聞きたいところ。ヒューストンさんは、「短く答えれば、パンデミック前の暮らしに戻ることはない」と言います。私たちの暮らしは変わる。問題はどのくらい変わるのか、ということだそうです。

 

Covid-19 がインフルエンザのようになる、というのが一番ありそうなシナリオ。普段から存在して、季節ごとに流行する。年に一度ワクチンの注射を受ける。そんな感じ。

 

ブリストル大学のアダム・フィン教授は、地方病性流行病 (endemic epidemic) と言う言葉を使って説明します。ウイルスは常に変化し、人間の免疫系に捕まるのを逃れようとする。人間はワクチンの開発でそれを追いかける。ウイルスは世界を巡り、免疫の十分でない地域で流行する。ということのようです。

 

地方病性ウイルスとは、ある地域に常に存在するウイルスのこと。例としては、ライノウイルスやインフルエンザ・ウイルスなど。地方病性ウイルスのコロナウイルスは現在4種類 (いま流行っている「新型」とは異なります)で、これらはほとんどの人にとっては風邪のような症状を引き起こすのみ。新型コロナウイルスがこれに加わるかどうかは、ウイルスの生態と地域内に存在する免疫にかかっています。

 

ベルファストのクィーンズ大学のグレース・ロバーツ教授は、「子供の症状は軽く、60歳以上の症状は重くなりがち、ということが言えそうだ。もし人生の早い段階で免疫を獲得する人が増えれば、そして獲得した免疫がある程度長続きするのであれば、新型コロナウイルスも軽い病気と見なされるようになっていくだろう」

 

英国医学協会公衆衛生委員会の委員長であるピーター・イングリッシュ博士は、「医療分野のリーダーたちが、重症患者が少なくなることを予想して、ウイルスが広がるのは許すと決断する時期が来るだろう」としています。

 

ワクチンの接種者が少ない場合や、新しい変異株がワクチンの効果を薄める場合はどうなるのか? ワクチンを受ける人が少なくなると、ワクチンの効かない株が生まれる可能性が高くなります。イングリッシュ博士はこれを「軍拡競争」にたとえます。ワクチン開発と新しい変異との競争になるというのです。南アフリカ株のワクチンができるのは今秋の半ば以降になると思われますが、ワクチンの修正は迅速にできると専門家は見ているようです。

 

感染に対するワクチンの有効性 (つまり、ワクチンを受けた人から他の人への感染がどれくらい防げるのか)、今後出てくる治療法がどれくらい有効か、高いワクチン接種率を維持できるかどうか、ウイルスがどのように変異するかなど、パンデミック後の私たちの暮らしに影響を与える要因はいくつもあります。

 

さて、科学的な要素だけでなく、社会的な要素も重要です。ロックダウンの害が衛生に関する益を上回ると言えるのはどの時点か? メンタル・ヘルスに対する悪影響が感染者の数に勝るようになるのはいつなのか? ゼロ・コロナを達成できなくても、経済に与えるダメージを考慮してロックダウンをやめると決めるのはいつなのか?

 

新型コロナから突然解放されるようなブレークスルーの瞬間は来ないだろう。パンデミックは姿を変えながら続き、社会は継続的に複雑な多数のリスクを管理することになるだろう、とヒューストン記者は書いています。

 

ヒューストン記者の個人的な予想は次のとおり。毎年新型コロナのワクチンを注射する。現在のインフルエンザと同様に、ある程度の疾患と死亡を受け入れる。そして、残念ながら、海外旅行の自由には大きな疑問符が付くのだそうです。

 

 

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