たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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映画『Begin Again』(邦題: はじまりのうた)

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若い頃は「No Music, No Life」ぐらいの勢いで音楽が好きだったのに、近頃はめっきり興味なくなっちゃったなあ、なんていう人が観ると、音楽への愛が再燃してしまうこと請け合いの映画であります。

 

「Once ~ ダブリンの街かどで」でスマッシュヒットを飛ばしたジョン・カーニー監督の新作です。今回は主演がキアラ・ナイトリーとマーク・ラファロということで「Once」とは予算の桁が違うようです。

 

グレタ (ナイトリー) は、曲作りのパートナーでヴォーカリストの彼 (演じるのはマルーン5 のアダム・レヴィーン) が浮気してしまって、別れたばかり。ダン (ラファロ) は、以前はラップ系の大物プロデューサーだったのだが、ビジネスのやり方で喧嘩して自分が立ち上げたレーベルからクビになったところです。友だちのライブに飛び入りの形で歌っていたグレタを、たまたまそのバーで飲んだくれていたダンが発見。一文無しの彼がグレタを口説いて契約し、いろんな手をつかってミュージシャンを集め、野外の一発撮りレコーディングでアルバムを作ろうとする。というストーリーです。

 

先月観た『カノジョは嘘を愛しすぎてる』という映画の感想で、「主人公が音楽の天才という設定なんだけど、天才だということを映像で観ている人に納得させるのは難しい」みたいなことを書いたのですが、こちらの映画ではそこの部分が難なくクリアされていました。

 

映画の冒頭で、グレタが友だちのステージに無理やり引っ張りあげられて一曲歌います。ここではグレタはギター一本の弾き語りです。

 

シーンが変わって、ダンが悶着を起こしてレコード会社をクビになります。離婚した元妻 (キャサリン・キーナー) や娘ともうまくいっていないことがわかります。飲んだくれてたどり着いた先が、冒頭のシーンのグレタが歌うバーなのです。

 

グレタが歌いだしたとたん、ダンは魅了されます。そして彼の頭の中で曲がアレンジされていくのです。まず、ピアノが入ります。ステージにはいろんな楽器が置いてあるのですが、自動ピアノみたいに鍵盤が動き出します。ドラムが入り、ストリングが加わると、ハイハットや弓が無人で動き、曲を奏でます。

 

一曲、ぽんと聞かされても、その曲が天才が作ったものかどうかなんてのはそうとう音楽の素養がない限りわからないわけですが、弾き語りとフルアレンジの対比なら、これは素人にも違いがわかります。そりゃ、フルアレンジの方が素晴らしく聞こえます。絶対的に見せても理解してもらえないときは、相対的に落差を見せればいいということですね。

 

いあや、あまりに鮮やかな見せ方だったので、思わずエントリを書いてしまいました。

 

映画自体もとてもいいです。ハートウォーミングなストーリー。最初にも書きましたが、また音楽が好きになってしまう映画です。

 

映画『Begin Again』 (2013 年、アメリカ)
7/12 at Light House Cinema
監督: John Carney
出演: Keira Knightley, Mark Ruffalo