たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

クリスマス

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今年のクリスマスは久しぶりにダブリンで過ごしています。年末に日本に帰らないのはいつ以来かお小遣い帳で調べてみたら、前回は2003年でした。

 

今年のクリスマスは、KさんMさん夫妻にパーティーに招いていただいた。グラスゴーやロンドンからもお客さんが来て、20人近くのにぎやかなパーティー。手造りのターキーやクリスマス・プディングなんかを食べて、たいへん楽しかったです。ありがとうございました。

 

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26日からはクリスマス明けのセールが始まります。街に出てみましたが、結構な人出でした。

 

今年こっちに残っているのは、仕事がちょっとあるっていうのも理由なんだけど、まあとにかく昨日の夜ですが、仕事してたら小腹がすいたので、近くのコンビニに夜食を買いに行きました。

 

カニ・スティックとスモークト・チーズとタノックスのティーケーキを買って、レジで会計をしていたんですが、そしたら後ろに並んでいた40歳ぐらいの女の人が突然、「あなたはたったいま日本からジェット機に乗ってやってきたばかりで、ティーケーキを見つけてびっくりしているように見える」と話しかけてきました。

 

その女の人は、身なりや化粧もちゃんとしていて、どこかのオフィスでマネージャーをやっていてもおかしくない外見だったのですが、かなり酔っているのはわかりました。彼女が言うには、ティーケーキにはクリームがいっぱい入っているので、とにかく私はそれを食べてはいけない。食べたら、お腹を壊すだろうというのです。

 

ティーケーキは私の大好物なのでちょっと反論したかったのですが、いきなり日本人と見破られたことが気になったので、なんで日本人とわかったのか、と聞きました。

 

そしたら彼女は、三島由紀夫は素晴らしい作家だと言い出しました。三島由紀夫、カズオ・イシグロ。日本は素晴らしい作家を生み出していると。三島の言葉の紡ぎ方は素晴らしい。すべての文が詩のようだ、と。

 

彼女は「spring なんちゃらの三部作、あー名前が思い出せない」と言っていましたが、帰ってきて調べたら「豊穣の海」三部作のことを彼女は話したかったのでした。

 

そのあたりで、ナッカー(ヤンキー)君タイプのこれも酔っぱらったティーンエイジャーがそばにやってきました。「私の息子なの」と彼女は紹介してくれました。母親にからまれてる私を救おうとして来てくれたのか、私から母親を守ろうとしていたのか、その辺はよく分かりません。

 

それから、彼女は私にハグをしてきました。ハグをするのはこちらでは普通のことなんですけど、見知らぬ女の人に親しくされてハグされたら、気をつけなければいけないことは、自分の財布はどこにあるか注意しておくことです。スリの可能性ありますから。もちろん、今回は大丈夫でした。そして、警戒してしまったことに、ちょっと罪悪感を感じました。

 

彼女は芭蕉の話とかもしたかったみたいなのですが、レジの人が待っているし、私も仕事がありましたので、適当に話を切り上げて帰ってきました。帰るときに警備の黒人のお兄ちゃんがかすかにスマイルしてきました。「ご愁傷様」という意味だったのか「ラッキーじゃん」という意味だったのかは不明です。

 

私は、もしかしたら彼女は昔、日本人の彼氏と付き合っていたんじゃないかなと思いました。日本人と相当親しく付き合った人でないと、私を見て日本人だと決め打ちできないと思うので。そして、その彼氏がティーケーキを食べ過ぎてお腹を壊したことがあったのかもしれませんし、なかったのかもしれません。