前回デリーに来たのは2019年の5月でした。その頃イギリスがブレグジットで揺れていて、北アイルランドとアイルランドの国境がどうなるのか揉めていたんですね。それでその国境の様子をブログに書きたくて来たのでした。そのとき書いたブログ記事はこちら。このときは日帰りで、デリーの街なかはあまり見て回らなかったのですよね。
デリーに来るのは4回目かと思います。最初に来たのは1991年だか1992年でまだアイルランドに住む前のこと。日本から1週間の予定で旅行にきて、ダブリンでレンタカーを借りてアイルランド島の北半分を周ったのでした。そのときに立ち寄ったのがデリー。一泊したかどうかは忘れました。その頃はまだ銃を構えた兵士が街なかに展開していました。ボーダーの手前でヒッチハイクしている現地のお兄ちゃんを拾ってデリーまで乗せてきてあげたのでした。
デリーはアイルランド島で5番目に人口の多い町。デリーというと1972年のブラディー・サンディー (血の日曜日事件) に代表される紛争の街というイメージが強いですが、街自体はほんとうに美しい町です。丘の上のシティーセンターは城壁に囲まれています。城壁に囲まれた街って滅多にないですよね。城壁の上を散歩することもできます。東側にはフォイル川という雄大な川が流れ、西側にはテラス・ハウス (長屋形式の民家) が立ち並んでいるのですが、その屋根が幾何学的な模様に見えて美しいのです。
しかし、なんといってもデリーの象徴は「You are Now Entering Free Derry」と書かれた壁でしょう。

Free Derry というのは 1969 年から 1972 年まで存在したカトリック系住民の自治区。自治区といってももちろん正式なものではなくて、住民たちがバリケードを築いてイギリスの警察や軍を入れないようにしていたということです。今は壁だけが残っていますが、ここももともとはテラス・ハウスが建っていて、道を拡張するときに家は壊したけれどもこの壁だけは残したということです。
ジャーナリストで活動家のエイモン・マッキャンによりますと、このフレーズはカリフォルニア大学バークレー校の学生運動からヒントを得ているそうです。バークレー校の学生たちは抗議活動の一環として校内を占拠したのですが、その入り口に「You are now entering Free Berkeley」という大きな看板を掲げたのですね。フリー・デリーの壁はそれをもじったものだそうです。
この壁のあたりは Free Derry Corner と呼ぶのですが、このあたりにはいくつもの壁画がテラス・ハウスの壁に描かれています。








参考: Exploring Derry – The Incredible Bogside Murals – HopsSkipsandJumps
紛争以外でいうと、最近ではテレビドラマの『Derry Girls』もよく話題にのぼります。『Derry Girls』はイギリスのチャンネル4で2018年から2002年まで放映されたシットコム。紛争が終結に向かう1990年代のデリーを舞台に女子高生たちの青春を描きます。チャンネル4のコメディとしては『ファーザー・テッド』以来のヒット作だそうです。街には主要登場人物5人を描いた壁画があり、ツーリスト・オフィスに行くとグッズもいっぱい売っていました。私も絵葉書を買いました。

泊まった宿は Quay 8 というホテル。街の中心に近いところにあってダブルの部屋を1人で使って90ポンド。スタッフはいなくて、当日朝にメールで送られてくるPINナンバーで中に入る仕組み。綺麗な部屋でした。私の部屋は道に面していたので車の音など気になる人はいるかもしれません。私はぐっすり眠れましたが。

翌朝の朝食はフォイルサイド・ショッピング・センターにある Synge & Byrne というカフェでカプチーノとクロワッサン。昼は城壁のすぐ外のウォータールー・ストリートにあるナイン・ホステジズ・カフェというところでアヴォカド・サーモン・トースト。朝食の写真はピンとがあってないし、昼食の写真は取り忘れました。

今回も観光した時間は3時間ほどと駆け足になりました。城壁の上や血の日曜日事件が起きたボグサイド地区を歩くウォーキング・ツアーもあるので、次に行くときはそれに参加したいと思います。