アイリッシュ・ウィスキー・ミュージアムに行ってきました。ここは何といっても立地が最高です。ケルズの書やロングルーム (図書館) で有名なトリニティ・カレッジの真向かいにあり、グラフトン・ストリートやテンプルバーなどの商店街/繁華街もすぐ近くです。とにかく市内のいろいろな場所を巡りたい方に最適です。
ミュージアムという名前ですが、ガイドさんの話を聞きながら館内を回るという、蒸留所の見学ツアーと同じシステムです。
ちょうどいい時間に着いたので、チケットを買ってすぐにツアーが始まりました。12時という早い時間帯ということもあって、お客さんは私を含めて7人です。多いと30人くらいになるらしい。
ツアーは4部構成です。最初の部屋ではこちらの画面で短いビデオの上映。
役者さんを使った歴史劇風の凝った映像で、ガイドさんがナレーションをその場で付けていくスタイルです。ガイドさんはグレースさんという若い女性の方です。
こんな感じの雰囲気のある小道具も配置されています。
2つ目の部屋は、中世のパブだか密造酒製造所を模した内装。3つ目の部屋がビクトリア朝時代のパブのような造りです。
基本的に、ガイドさんがストーリーテラーとなって、ウィスキーにまつわるさまざまな歴史やエピソードを綴っていくんですね。墓場泥棒の話もありましたし、アイルランドでどれほど密造酒製造が盛んだったかという話もありましたし、ウィスキーの貯蔵庫から出火してダブリンが大火事になったとき、火災で死んだ人より流れ出したウィスキーを飲みすぎて急性アルコール中毒で死んだ人の方が多かったという話もありました。
お話の内容は、ウィスキー初心者の方でもかなりお詳しい方でも楽しめると思います。私が面白かったのは、「Saved by the bell」の語源の話。私はこれは「ゴングに救われる」みたいなボクシング用語だと思っていたのですが、実はそうではなかった。昔は医学が発達していなかったため、昏睡状態になっただけで死んではいないのに埋葬されてしまうということがあった(メチルアルコールを飲むと、失明、昏睡、最後には死に至るみたいな話の流れでこの話になった)。それで棺桶の中にベルを入れておくことで、昏睡から覚めた人がそのベルを鳴らして助けを求めていた、みたいな話。
このミュージアムに来るのは2回目なのですが、前回来たときは、ビクトリア朝パブの部屋で、上の写真の肖像画がしゃべり始めて説明するみたいな仕掛けがあったんだけど、今回はなくなってました。
4つ目の部屋はいよいよテイスティングです。このミュージアムは特定のウィスキー会社ではなく、インバウンド専門の旅行会社が運営しています。したがって、いろんなブランドを飲み比べることができます。
クラシック・コース(20ユーロ)を選んだ私が試飲したのは、ダブリナー、パワーズ、そしてアイリッシュマンの3つ。ほかの人はみんなプレミアム・コース(23ユーロ)を選んでいて、ナポーグ・キャッスル(Knappogue Castle)という12年物のいいウィスキーも試飲していた。プレミアムにはお土産のグラスもついてくるので、行かれる方はプレミアムを選ばれることをお勧めします。
さて、私が試飲した3つの中で一番おいしかったのはパワーズです。パワーズはジェムソンやタラモアデューなどと並ぶ、アイルランド定番のブランドで、輸出はほとんどされていませんが、4年ほど前まではアイルランドで一番飲まれていたウイスキーでした。
私は普段は一番安い価格帯(30ユーロぐらい)のウィスキーしか飲みませんが、同価格帯のジェムソンやブッシュミルズと比べても、その豊饒な味わいと胸いっぱいに広がる温かさから、パワーズが好きです。ブレンドウィスキーですが、確かモルト・ウィスキーの割合がジェムソンなんかより高かったと思う。、
私は普段は一番安い価格帯(30ユーロぐらい)のウィスキーしか飲みませんが、同価格帯のジェムソンやブッシュミルズと比べても、その豊饒な味わいと胸いっぱいに広がる温かさから、パワーズが好きです。ブレンドウィスキーですが、確かモルト・ウィスキーの割合がジェムソンなんかより高かったと思う。、
(上の写真はすべてミニボトルです)
ちなみに、いまアイルランドで一番飲まれているウィスキー・ブランドはやはりジェムソンです。ジェムソン、パワーズ、パディーという伝統的なアイリッシュ・ウィスキー・ブランドを抱えているアイリッシュ・ディスティラーズ社が、国際ブランドであるジェムソンに広告資源を集中させたからです。まあ、パワーズの広告を大々的にアイルランド向けだけに制作するのは効率悪いと考えたんでしょう。
ダブリナーは割と新しい会社のウィスキーなのですが、個人的にはこれはあまり好きではない。グレーン・ウィスキーの割合が高いウィスキーだそうです。
アイリッシュマンはフルーティーな独特の味。青りんごの香りがします。独特すぎて、一口飲んだだけではちょっと好きか嫌いか判断付きかねます。70%がシングルモルト、30%がシングルポット(麦芽と麦芽になっていない大麦を混ぜたもの)から作ったブレンド・ウィスキーだそうです。
ツアーの所要時間は30分ほど。ちょうどいい長さです。ガイドさんの語りがメインのアトラクションなので、ある程度の英語力が必要かもしれません。ショップやバーも併設されています。