私の住んでいるスミスフィールド界隈は、裁判所や法律関係の建物が多いので、Legal District (法律地区、直訳御免) なんて呼ばれることもあるんですね。
そうした建物のひとつがこちら。キングズ・インズ (King’s Inns) です。
ここは、私の理解したところでは、法廷弁護士になるための法務大学院みたいな教育機関ですね。アイルランドはイギリスと同様に、法廷弁護士 (Barrister) と事務弁護士 (Solicitor) の区別があります。
さて、このキングズ・インズの庭に何気なく佇んでいるのがこちら。
プラタナスの木がベンチを吞み込んでいるんですね。このベンチは、キングズ・インズの建物と同様に、19世紀初め頃のものです。英語でのニックネームは The Hungry Tree です。
人気のない森の中に置き忘れられた自転車が樹木に呑み込まれるというのはまだわかりますが、ここは毎日人が通るところです。にもかかわらず、200 年間にわたって誰もベンチを移動しなかったというのが凄いです。正直、想像を絶する我慢強さというか、頓着のなさというか。それとも遠い未来に住む私たちに対する壮大な悪戯なんでしょうか。
キングズ・インズの庭は平日は朝 7:30 から夜 7:30 まで一般に開放されています。近所に住む人にとっては犬のお散歩コースになっているようです。
木に呑み込まれたベンチにも自由に座ることができます。座り心地はまあ普通です。