たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

ティーリング・ウィスキー蒸留所の見学ツアー

新しいウィスキーの蒸留所がダブリンにできる話は以前ちょっと書きましたが、昨日、遂に見学ツアーに行ってきました。

 

名前はティーリング・ウィスキー (Teeling Whiskey)。5 月にオープンしたばかり。場所はダブリン 8 区のニューマーケット。私が蚤の市によく行くところです。

 

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ティーリングというのは会社のオーナーの名字なのですが、ティーリング家のウィスキー造りの歴史は 18 世紀にまで遡ることができるのだとか。ウォルター・ティーリングがザ・リバティーと呼ばれるこの地区でウィスキーを作り始めたのが 1782 年のこと。ダブリンには一時期 37 もの蒸留所があったのですが、輸出市場であるアメリカの禁酒法の影響もあり、その数は激減。1976 年を最後に蒸留所はダブリンから姿を消します。しかし、ティーリング家の子孫が創業の地で一族の、そしてダブリンの伝統を引き続ぐというわけです。

 

平日なのであんまりお客さんいないかと思いましたが、私を含めて 11 人。アメリカ人が 3 人、ドイツ人が 4 人、ブラジル人が 2 人、アイルランド人が 1 人、そして私です。

 

ジェームソンやギネスのミュージアムと違って、ここは稼働している蒸留所を見ることができます。だから、中に入ると暑いし (30 度超え)、甘くて香ばしいかおりがします。

 

中はそんなに広くないです。糖化、発酵、蒸留のプロセスは、テニスコート 2 つ分ぐらいの 1 つのスペースに収まっています。

 

発酵用の装置。

 

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蒸留のためのスティルポット。3 っつあって、レベッカとか女性の名前が付いています。

 

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あくまでも稼働中の新しい建物なので、伝統の重みを感じさせるような内装ではありません。見せることよりも、機能性重視です。

 

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樽を少しだけ並べているスペースもありましたが、これはツアー客向けで、たぶん実際の貯蔵庫は他の場所にあるんだと思う。

 

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ガイドツアーは 30 分ほどで終わって、その後、試飲会。コースが 3 つあって、コースによって値段が違う。
14 ユーロ - スモール・バッチ (一番手頃な値段) とカクテル。
20 ユーロ - スモール・バッチ、シングル・グレイン、シングル・モルトの 3 種類。
30 ユーロ - シングル・モルト、リバイバル・シングル・モルト、21 年物シングル・モルトの 3 種類。

 

私は一番安いコースにしましたが、スモール・バッチでも十分おいしいですよ。

 

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ティーリングの特徴は、アルコール度が 46% ということ。だいたいの他のウィスキーは 42% です。大衆向けウイスキーよりもちょっと上の線を狙ってるようです。スーパーマーケットなんかでは売ってない (ジェームソンなんかは売ってる)。

 

その後、ギフトショップへ。ウィスキーのほかに、Tシャツや小物なんかも売っています。

 

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30 年モノは 1500 ユーロ (20 万円ぐらい) もするんですね。

 

あと、ガイドさんが説明しているときに、白髪の紳士がカジュアルに割り込んできてお客さんに話しかけはじめた。

 

この人はジョン・ティーリングさんといって、今の社長のお父さんで、たぶん会社のオーナー。この人がアイルランドの名物ビジネスマンの 1 人で、80 年代にクーリー蒸留所を立ち上げた人です。それまで、アイルランド共和国にはしばらく蒸留所が 1 つしかなかった。スコッチウィスキーに対抗するために、アイルランド共和国のすべての蒸留所が合併してたんですね (北アイルランドのブッシュミルズは別です)。クーリー蒸留所はそれから 21 世紀に入るまで長い間アイルランド唯一の独立系蒸留所でした。

 

クーリー蒸留所は 2011 年に米国のビーム社に買収され、そのビーム社をサントリーが買収したので、いまはサントリーが所有しています。

 

ティーリングは蒸留を開始したばかりなのに、なぜ生産に時間のかかるウィスキーをもう発売しているのかと思われるかと思いますが、もともとは他社から買ったウィスキーを瓶詰めして売るところから始まった会社なのですね。会社としては創業数年の若い会社です。たぶん、ジョンさんがクーリー蒸留所を売った時に、貯蔵中のウィスキーの一部を譲り受ける契約だったんだと想像します。

 

余談。
ジョンさんにどこから来たのと聞かれて「日本」と答えると、やっぱりラグビーの話になった。ジョンさんは「I live rugby」 (I love rugby の最上級形) と言って、「あれはこれまでテレビで放映された試合の中で最高の試合だったね」と言っていた (「テレビで放映された試合の中で」と言ったのは、手放しで「最高の試合」というと逆に嘘くさいから、たぶん)。ラグビー好きな人なら、あの試合はほんとに心が動かされたでしょう。ありがとう、ラグビー日本代表。