たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

ジェイムズ・ジョイスの記念コイン

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ジェイムズ・ジョイスの 10 ユーロ記念コインが発行されました。

 

昨日からの発売だったんだけど、日本に住んでいるお友達が欲しいというので、今日、Dame St. のアイルランド中央銀行に行って買ってきました。お友達の分だけにするつもりだったんですが、行ったら欲しくなってしまって自分用にも 1 個購入してしまいました。

 

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ジョイスの肖像とユリシーズの一節がデザインされているんですが、その引用が間違っているということで話題になっています。余計な関係代名詞の that を 1 個入れてしまったらしい。

 

中央銀行もミスを認めたのですが、「このコインは作家を芸術的に表現するもので、文学的な表現とは違う」という苦しい言い訳で、コインの販売を続行しています。

 

このミスのおかげで、アイルランドはもとより海外でも多くのメディアにも記念コインの発売が取り上げられました。たとえば、スコットランドのスコッツマン紙は、「ジョイスはアイルランドで最も有名な作家の一人かもしれないが、彼の国のすべての人が彼の文章に慣れ親しんでいるわけではないようだ」みたいな書き出しで、お堅い銀行の間抜けなエラーを面白おかしく伝えていますから、宣伝効果は抜群です。意図せぬ炎上商法でしょうか。私が行ったときも窓口に 10 人ぐらい列ができていて、次から次へとお客さんが訪れていました。

 

お値段は 46 ユーロです。これを高いと感じるか妥当な値段と考えるかは。。。まあ、ある意味、マニアさん向けですからね。10000 枚限定です。

 

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一番上の写真はアイリッシュタイムズ紙から。3枚目はアイルランド中央銀行。



追記 (2013/04/17):
ジョイスの孫のスティーブン・ジョイスさんは、この間違いについて「ジョイス家に対する最大の侮辱のひとつ」として怒っています。肖像画は似ていないし、中央銀行からあまり相談も受けなかったみたいで、ちゃんと相談してくれたら誤植も見つけることができたのに、と言っています。
しかし、ジョイスの弟の孫で、ジェイムズ・ジョイス・センターの理事でもあるロバート・ジョイスさんは、いやいやそんなことはない、肖像画は写真ではなくデザインであるし、ジョイスはもともとエラーには寛容だった (ユリシーズの初版もいっぱい誤植があったけど、ジョイスは喜んでサインして関係者い配ってたよ)と反論しています。


Joyce grandson describes Central Bank coin ‘one of the greatest insults to Joyce family’
http://www.irishtimes.com/culture/books/joyce-grandson-describes-central-bank-coin-one-of-the-greatest-insults-to-joyce-family-1.1359033