3 月 26 日 (火): ワールドカップ予選の第 5 戦がダブリンの AVIVA スタジアムで行われまして、アイルランドはオーストリアと 2-2 で引き分けました。
C 組の興味の的は、アイルランド、スウェーデン、オーストリアのうち、どの国が 2 位になるのかということに絞られてきています。こうなると、敵地では引き分けを、ホームで勝ちを狙って勝ち点を積み上げていくのが定石となります。先週はストックホルムで引き分けて、スウェーデンのポイントを 2 つ削ることにまんまと成功したアイルランドですが、昨日のオーストリア戦はホームですから、トラパットーニ監督も「勝たねばならない試合」と明言しておりました。
キーンが怪我で欠場することが早い段階でわかっていたので、試合前の話題は誰が代わりに出場するのか、ということでした。一番人気はもちろんウェス・フーラハン。クリエイティブな選手です。ところが、トラパットーニが選んだのはコナー・サモン。誰やねん、っていう話ですが、26 才のでかくてごついフォワード。今回が 3 つ目のキャップです。みんながっかりしました。
開始早々、CB のクラークが自陣でつまらないミスを犯してボールを奪われ失点。しかし、アイルランドも 25 分に相手ゴールライン付近でロングパスに追いついたロングが (狙ってません)、中央には味方がまだ誰も詰めていなかったのに、「今まさに絶妙のタイミングで中央に折り返そうとしている俺」オーラを撒き散らして、敵 DF の不必要なタックルを誘い PK 獲得。これをウォルターズが決めて同点。(そうです。今シーズン、同一試合で PK を 2 つはずし、オウンゴールも記録したあのウォルターズです)。前半ロスタイムには、コーナーからまたもウォルターズがヘディングで決めて逆転します。
RTE 解説のエイモン・ダンフィーは、プレマッチではボロカス言っていたのに、試合内容もいいし、何よりアイルランドがリードしているわけで、試合前に言ったことと矛盾しないようにチームを褒めないといけないので大変です。「後半は早くフーラハンを投入してポゼッションを高めないといけない」などと言い出して、横にいたリアム・ブレイディーに「ちょっと待って。チームがうまく機能してるのに、なんで今、交替の話をしないといけないんだ」とあきれられる始末。ブレイディーは選手時代にトラパットーニの下でプレーしたことがあり、去年まで彼のアシスタントコーチも務めていたので、圧倒的なトラパットーニ擁護派。解説者じゃなくてトラップの PR マンと揶揄する人もいる。
ハーフタイムで解説陣が心配していたのは、1 点のリードを守りにいったらだめですよ、ちゃんと攻めないと、ということ。しかし、この不安は的中して、後半のアイルランドは防戦一方。交替も、センターバック同士を代えたのはともかく、一番いい動きをしていた MoM のロングを引っ込めて守備的 MF のグリーンを投入。波状攻撃に耐えていたアイルランドも、あとほんとに30 秒で終了の笛というところで、バイエルン所属のアラバにミドルをゴールに放り込まれた。
トラパットーニのインタビューは、英語がそんなにうまくないので普段から「モールス信号のような ( (c) ナイル・クイン)」会話になるんだけど、今回は土壇場で追いつかれたショックが大きかったみたいで、それに輪を掛けてしどろもどろになりそうなのを勇敢に絶える老指揮官といった風情でした。インタビュアーが進退問題に言及したところでは、「なんでやねん」と気色ばんでましたけど。
スタジオに戻ると、リアム・ブレイディーが「あの質問 (進退問題)はありえんだろ」というと、司会のビル・オハリヒーは「勝たなければならない試合と言って勝てなかったんだから、進退問題の質問は正当な質問」といって譲らない。オハリヒーは普段は質問役に徹して頑張って自論を言い張ることはしないんですが、あの質問がありえないってなると、それに言及するのがタブーになって、ジャーナリズムとか批評みたいなものが死んじゃうから、ここは頑張らないといけなかったところ。
これで C 組は、ドイツが勝ち点 16 で独走状態。スウェーデン、オーストリア、アイルランドが勝ち点 8 で追っています (スウェーデンは消化した試合が 1 つ少ない)。だからまだ終わったわけではありません。ただ、アウェイでのオーストリア戦とホームのスウェーデン戦はほんとに勝たないといけなくなりました。
他球場の結果は ドイツ 4-1 カザフスタン (スウェーデンとフェロー諸島はお休み)。
アイルランドの次の試合は 6 月 7 日の対フェロー諸島 (@ダブリン)
アイルランド先発メンバー:
Forde (Milwall); Coleman (Everton), O'Shea (Sunderland), Clark (Aston Villa), Wilson (Stoke); Walters (Stoke), McCarthy (Wigan), Whelan (Stoke), McLean (Sunderland) Long (WBA), Sammon (Derby)
Forde (Milwall); Coleman (Everton), O'Shea (Sunderland), Clark (Aston Villa), Wilson (Stoke); Walters (Stoke), McCarthy (Wigan), Whelan (Stoke), McLean (Sunderland) Long (WBA), Sammon (Derby)
サブ:
St Ledger (Leicester) for Clark (72 mins), Green (Leeds) for Long (83mins)
St Ledger (Leicester) for Clark (72 mins), Green (Leeds) for Long (83mins)
アイルランド得点:
Walters (25 pen, 45)
オーストリア得点:
Harnik (11)、Alaba (90)
Walters (25 pen, 45)
オーストリア得点:
Harnik (11)、Alaba (90)
写真はアイリッシュタイムズ紙から。ウォルターズ選手