5 本見ました。
奇跡 (2011 年、日本)
英題: I Wish
2/1 at IFI
監督: 是枝裕和
出演: 前田航基、前田旺志郎、大塚寧々、オダギリジョー、樹木希林、橋爪功、阿部寛、夏川結衣
九州新幹線開業の CM は大好評でしたね。一般的な広告が訴求対象を細かくセグメント化しちゃう中で、老若男女の別なく人々の一体感を呼び覚ますようなこのコマーシャルは新鮮でした。
両親が離婚して、兄は母親と一緒に鹿児島で、弟は父親と一緒に福岡で暮らしている。九州新幹線が最初にすれ違う場所で願いごとを唱えれば奇跡が起きるという噂を聞き、双方の友だちを連れて中間点の熊本で落ち合うことにする。
主役の前田兄弟を始め、子役の皆さんが熱演。それを見守る大人たち優しさとおおらかさとダメっぷり。是枝監督が意図したかどうかはともかく、あの開通 CM のスピリッツが息づいていました。
まったくの余談なんですが、いまアイルランド (だけでなく EU 全体) が牛肉加工食品に馬肉が混入していた件で大問題になっているんですね。だから、熊本の「馬刺し」という言葉が何度も登場したのはタイムリーでありました。
No (2012 年、チリ)
2/17 at Lighthouse Cinema
監督: Pablo Larraín
出演: Gael García Bernal
時代背景は、1988 年のチリのピノチェト独裁政権の可否を問う国民投票。反対 (No) 陣営は勝つ見込みなんかないよと思っていたのだが、とりあえずキャンペーンのアドバイザーに広告クリエーターを雇う。そしたら、彼が本気を出しちゃって。。。みたいな話。どこまで実話に基づいているかはわからない。しかし、この国民投票は、選挙キャンペーンに商品広告の手法が採り入れられた初期の例であることは確からしい。
Mea Maxima Culpa: Silence in the House of God (2012 年、アメリカ)
2/23 at Lighthouse Cinema
監督: Alex Gibney
カソリックの神父による性的虐待を描いたドキュメンタリー映画。メインはアメリカで起きた聾唖の少年たちに対する虐待なんだけど、アイルランドでの事件も出てきます。
この映画を見るまでは、どんな職業にも悪い人は一定の割合でいるぐらいに考えていたんですが、そういう問題じゃないですね。ヴァチカンも含めてカソリック教会全体の隠ぺい体質、これが問題です。
それで、そういう悪事を働いている神父は、罪悪感があるどころか、神に近い自分に触られて少年たちも幸せだ、ぐらいに思うらしい。つまり、悪い神父の心の中では宗教的にも正当化されているということ。
今日、たまたま、仕事である会社に行ったんだけど、受付のところにテレビがあって、教皇引退のニュースをやっていたので、ちょっと見ていた。そしたら、受付の女性が話しかけてきて、彼女はアイリッシュだから教会の悪口を言わないように私は気をつけてたんだけど、彼女の方から「The church is finished」(教会は終わった) と言ってきた。
あんまり安易に類似性を求めるべきじゃないかもしれないけど、学校の体罰も似たような構造の気がする。「愛のある体罰」なんて正当化しちゃうところも。暴力振るわれたらすぐに警察に言う方が、開けた教育の場になると思うんだけど。これは、先生が生徒に暴力振るわれたときも同じです。
Cloud Atlas (2012 年、ドイツ)
邦題: クラウド・アトラス
2/26 at Lighthouse Cinema
監督: Lana Wachowski, Tom Tykwer, Andy Wachowski
出演: Tom Hanks, Halle Berry, Jim Broadbent, Hugo Weaving, Jim Sturgess, Doona Bae, Ben Whishaw, James D'Arcy, Zhou Xun, Keith David, David Gyasi, Susan Sarandon, Hugh Grant
時代を越えて 6 つの物語が絡み合いながら同時に進行していきます。ただ、お話があんまりうまく収斂していかなくて、とっ散らかった印象なんですけど。たぶん、私の理解が足りないんだな。
余談ですが、原作者のデイヴィッド・ミッチェルさんはイギリス人なんだけど日本に長く住んでいたことがあって、現在は日本人の奥さんと子供たちとアイルランドのコークで暮らしている。
To The Wonder (2012 年、アメリカ)
邦題: トゥ・ザ・ワンダー
2/28 at Lighthouse Cinema
監督: Terrence Malick
出演: Ben Affleck, Olga Kurylenko, Rachel McAdams, Javier Bardem
私ごとで恐縮ですが、高校出て上京して、初めて友だちと見にいったのが、テレンス・マリック監督の『天国の日々』だったと思う。それまで映画館で映画を見る習慣がほとんどなかったので、上映後にきょとんとした記憶がある。作品が悪かったんじゃなくて、もちろん私の処理能力の問題です。
そのマリック監督の新作。モノローグはいっぱいあるけどダイアログはほとんどない。とても静かに、ゆっくりと映画は進みます。こういう手法の映画はこれまで見たことないな。直接的には恋愛の行方を追っていくストーリーなんだけど、見た後の余韻の残り方が半端ない。