たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

ニッポンノウタ

アイルランドにいてもインターネットで日本の音楽を聴くことはできますけど、日本に滞在中はお店に入ったりすると、日本語の音楽がふと耳に入ってくるのがいいです。

今回の旅で印象に残った曲について書きます。私はもともと音楽は好きなのですが、1993 年から 2006 年まで、つまりアイルランドに住み始めてから YouTube ができるまで、日本の音楽からほぼ隔絶された生活を送っていたので、新しい曲ばかりではありませんのですみません。

最初はレキシの『狩りから稲作へ』です。(アルバム『レキツ』所収。2011 年)


狩りから稲作へ(歌詞あり)/レキシ

♪縄文土器、弥生土器、どっちが好き? どっちもドキ!

君と一緒に暮らしたいから放浪の採集生活をやめて定住するようになったという究極のラブソング (?) です。

レキシは、元 Super Butter Dog のキーボード担当である池田貴司さんが主宰するプロジェクトです。歴史趣味が高じた池田さんが豪華客演陣を交えながら、日本史をテーマにした壮大なスケールの楽曲を奏でます。悠久の時の流れを感じさせる詩ととろけるようなソウル/ファンク・サウンドをお楽しみください。

もんじゃ焼き屋で、ちーさんの怒涛のご推薦を受け、このバンドを知ることになったのですが、その場でウミガメさんのスマートフォンで楽曲をチェックするなど、ほんとうに便利な世の中になりました。

ちなみに、私の中学のときの同級生は、スマホを買いに携帯屋さんに行ったところ、「年配の方にはスマートフォンは使いにくいと思いますが大丈夫ですか」と言われ、頭にきちゃったそうです。



次は夏木マリさんの『むかし私が愛した人』。これは、もんじゃ焼きの後、バーに行ったときに、マスターが掛けてくれた曲です。


夏木マリ - 昔私が愛した人Natsuki Mari - Mukashi watashi ga Aishita Hito

私にとって、夏木マリさんと言えば、『絹の靴下』のフィンガー・アクションが色っぽいおねえさんであり、次に出会ったのは『千と千尋の神隠し』の湯婆であったわけですが、どこに行方をくらましていたのかと思ったら (まあ行方をくらましていたのは私の方ですが)、こんな素晴らしい仕事をされていたんですね。

これは、1995 年発表の『9月のマリー』というアルバムに収録された曲で、ピチカートファイヴの小西康陽さんがプロデュースしています。

曲調は、バブルの残り香がほのかに漂うようなおしゃれなシャンソンなんですが、それに直訳調のごつごつした日本語が乗っかっています。ミスマッチなんですけど、それが夏木さんの囁く愛の言葉だとしたらどうでしょうか。

夏木さんの曲がかかったとたんにと、バーの雰囲気が一気に変わったんですよね。店の中には 3 組のお客さんがいたのですが、どのグループも「これ、誰の曲ですか?」とマスターに尋ねていました。



最後は ECD の『ロンリーガール』。


ECDのロンリーガール feat. K DUB SHINE

伊勢佐木町の有隣堂でうろうろしていたら、『働け ECD』というタイトルの本が目に入りました。ECD さんは、日本のヒップホップの創成期から活動するラッパーで、本名は石田さんです。

ECD さんの名前を目にするのは久しぶりでしたし、まだ活動されていたことにも驚いたのですが、24 歳年下の女性と結婚し、2 歳と 0 歳のお子さんがいらっしゃるとのこと。石田さんは 51 歳です。

『働け ECD』は、正式タイトルを『働けECD わたしの育児混沌記』といい、奥さんで写真家の植木一子さんが、「収入 16 万、家賃 11 万」、「家事に追われ、子供に泣かれ、早朝ラップで起こされ」ながらも、「楽しくも懸命に生きる石田家の毎日を、母、そして妻の視点から瑞々しく切り取る心あたたまる子育て日記」です。植木さんのブログ → http://hatarakecd.exblog.jp/

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それで ECD さんの曲を Youtube で探して見つけたのが上記のビデオです。1998 年の作品なんですけど、今聞いても全然いいですね。フェミニズム全開のリリックで、「庇護者のようにふるまってしまった」臭がまったくないというと嘘になりますけど、日本語が流れるようにうまくリズムに乗ってます。歌詞 → http://www.cathedral.jp/k2/other_ecd.html



ファンク/ソウル、シャンソン、ヒップホップとジャンルは違いますけど、3 曲とも外国の音楽を自分のモノにしたうえで、日本語を自在に乗せて偽物じゃない日本の歌にしているのが素晴らしいと思いました。