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アイルランド総選挙

アイルランドの総選挙は金曜日に投票が行われました。

 

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まだ、全部の開票結果は出てないんだけど、政権与党だった Fianna Fail (FF) と緑の党が惨敗。野党だった Fine Geal (FG) と労働党が大躍進です。

 

アイルランドは Fianna Fail と Fine Geal が二大政党で、これまでの首相はどちらかの政党から出ていた。最近は一党で過半数を取れなくなっていたので、小さな政党との連立政権でしたけど。

 

全議席数は 166 なんだけど、Fine Geal が 80 議席に迫る勢い (改選数51)。FG が国会 (下院) で最大政党になるのは史上初。労働党も 30 台後半の議席数を確保しそう (同 20)。労働党が議会で 2 番目に大きな党になるのも初めて。Fianna Fail は総崩れでたぶん 20 議席に届かない (同 71)。連立政権のジュニア・パートナーだった緑の党は全滅 (同 6)。Sinn Fein (SF) は議席を 3 倍以上に増やして 15 に届くかもしれない (同 4)。

 

次の政権は、FG 党首のエンダ・ケニーを首相として、FG と労働党の連立政権になるとみて間違いないでしょう。FG には労働党を外して無所属候補何人かと組んで政権を担うというオプションもあるけど、ちょっとこれでは政権が不安定になる。ここしばらくは、FF+進歩民主党 (いまはもうない)または緑の党 VS FG+労働党っていう対立軸で政治が行われてたんで、FG+労働党の連立政権でまとまるでしょう。

 

しかし、そう考えると、FFと組んだ小さな政党は、進歩民主党、緑の党と、2 つ続けて壊滅的な状態に追いやられたことになる。緑の党はバブル崩壊時に政権与党だったっていう不運もあるけど、存在感を示すことができなかった。鹿狩りや犬 (グレイハウンド) の繁殖にいろいろ規制をかけようとしたんだけど、「田舎の生活を守る会」みたいなところに強硬に反論されて、テレビの討論会でもこてんぱんにやられたりしてたから。

 

今回の選挙結果の特徴というか傾向をテレビで政治学者が分析してたんだけど、そのうちのひとつがダブリンおよびダブリン通勤圏での左傾化。中道政党の FF はダブリンで 1 議席しか取れず、通勤圏でも5 議席ぐらい。FG はもちろん議席数を伸ばしたけど、それ以上に労働党、Sinn Fein、社会主義者党などの諸派や左派無所属などが議席を取った。

 

アイルランドは基本的に持ち家志向なんだけど、ダブリンやダブリン近郊では家の値段が物凄く下がって、仕事もなくなるしローンも払えないみたいな人がいっぱいいる。特にバブル崩壊直前に不動産を買った 35 歳以下ぐらいが一番痛い目に遭っている。そういう人たちは FF に幻滅したというより、政治システム自体に幻滅してしまって、おなじく中道の FG なんかより、もうちょっとラジカルな変化を望んだのかもしれない。まあ、こっちの左翼政党は日本のなんちゃって左翼と違ってまともに仕事するから。

 

あと、Sinn Fein は民族政党だから左派に入れるのに違和感あるかもしれませんが、支持基盤は基本的に低所得者層なんで、政策的には労働党なんかに比べても左寄りです。

 

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