たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

ジュニア・パートナー

イメージ 1

おととい、イギリス労働党のミリバンド党首の話をしたので、今度は保守党党首のキャメロン首相について。

キャメロンさんの演説で私がびっくりしたのは、「アメリカとのパートナーシップにおいて、イギリスはジュニア・パートナーである」って国民に対して言い切っちゃったことです。対等なパートナーではないっていうことですね。

映画の話で恐縮なんですが、2004 年の『ラブ・アクチュアリー』っていうロマンティック・コメディ映画で、ヒュー・グラント演じるイギリス首相が「イギリスは小国 (small country) である」って言い切ったんですが、これもちょっと驚きました。小国だけど、みんなで力を合わせて頑張ろうぜ、みたいなフィールグッドな文脈で使われていました。

日本もそろそろこういうのを政治家がアナウンスした方がいいんじゃないんかと思います。アメリカとは対等な関係ではないっていうことをです。こういうアナウンスって、あまりされてないですよね?

ただ、ちょっと気を付けないといけないのは、日本の文脈だと、対等じゃないっていうと上下関係になっちゃうんですよね。「対等じゃない」っていう言い方がよくないか。力関係に強弱があるっていうことですね。日本だと、力関係の強い人はいばっていいし、弱い人はへいこらしなきゃいけない、ってことになりがちです。

以前、アイルランド政府 (商務庁だったかな) が発行した日本と商売したい人向けのガイドブックに、「日本の商慣習は垂直的である」って書いてありました。つまり、お金を払う人とお金をもらう人の関係が上下関係だってことです。

私はアイルランドで自営業みたいなことをやってますけど、お客さんとのやりとりでは、普通に人としてのリスペクトをいただいております。まあ力関係は、お金払う人のほうがもちろん強いんですけどね。

だから、イギリスとアメリカの関係が、もしくは日本とアメリカの関係が対等のものではないとしても、リスペクトは双方向的なものであって、特に遠慮がちにものをいわなければいけないわけでも、敬語を使わないといけないわけでもない。

でも、やっぱり力の強い方の言い分が通りやすいので、弱い方はいろいろ頭使わないといけません。弱いもの同士で連帯組んだりとかですね。

日本と中国の関係においても、このまま中国が分裂せずに進めば、中国の力の方が日本より強くなるでしょう。人口の差がありますから。だから、「国と国との関係は対等」とかいう幻想はとりあえずおいといて、力関係の弱い立場の国として、どうやって大国と付き合うか、みたいなことは今から考えておいたほうがいいと思います。そして、それはスネオみたいに大国のイエスマンになるということではないはずです。

北沢防衛相が、ベトナム、インドネシア、オーストラリア、タイ、シンガポールの国防相と対談して、「尖閣諸島は日本固有の領土だ」と説明したそうですけど、全面的に賛成してくれる人はなく、「国際法に基づき平和的に解決することを望む」みたいな一般的なことを言われたみたいです。

それはそうですね。たとえばベトナムが中国と領土問題になったときに、日本は (ベトナムに国際法上の理があるとすれば) はっきりと中国にものを言ってくれそうだというメッセージを日本は発したでしょうか。自分の国の領土のことですら中国にモノ言えないのに、うちらのことなんか絶対助けてくれねーよな、と彼らは思ってるはずです。

これから中国はまず間違いなく大国になっていくでしょう。周辺国は力を合わせて中国の力を押さえてバランスを取っていかないといけない。その中で、経済的な力などから考えても、日本はリーダーシップをとっていかなければいけないと思います。それが、今回の尖閣問題の対応では、リーダーどころか実は日本はウィーケストリンクじゃないのかという印象を与えてしまいました。今回の対応で、日本はいろいろと多くの物を失ったと思います。