たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

ダブリンの手書き看板職人とグラフィティ・アーティスト

前にテンプル・バーのいるかホテルのことを書きましたけど、いるかホテルの横に薄暗い路地があって、そこに落書きがしてありました。

 

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道が狭かったので全体が撮れなかったのですが、「I’d rather trust a dealer on a badly lit street corner than a criminal in a three piece suit」(スリーピースのスーツを着た犯罪人よりも、薄暗い街角の密売人を信じる) と書いてあります。

 

単なるグラフィティにしては書体がすっきりしているし、セリフがやけにスカしてるので、何なんだろうと思っていたのですが、先日の新聞記事で謎が解けました。

 

これは、Maser という名前のダブリンのストリート・アーチストが中心になって進めている They are Us というプロジェクトの一環なのだそうです。

 

かつてのダブリンには、手書きの看板があふれていました。専門のレタリング職人さんがいて、お店の看板とか、映画館の看板とか、屋外広告とかを手書きで書いていました。70 年代、80 年代くらいまででしょうか。

 

Maser さんは最初は単純なメッセージを落書きしてたんですが、もうちょっとこれを発展させて、ダブリンの街のことを語れないかと考えました。昔のダブリンの街並みのことを考えていて、昔は手書きの看板がいっぱいあったなあなんてことを考えて、レタリング職人のことを調べたら、ケビン・フィーニー (Kevin Feeney) っていう有名な職人さんの名前に行きあたった。彼はもう亡くなってたんだけど、息子さんに連絡して、いろんな資料を見せてもらった。幸いにもケビンさんは写真も好きだったので、彼の仕事の多くは写真で残ってました。

 

テキストはシンガー・ソング・ライターのデミアン・デンプシー (Damian Dempsy) さんに頼んで書いてもらい、ケビンさんの書体や文字の並べ方を参考にしてこのプロジェクトを始めたそうです。

 

ダブリンの街なかにいくつか作品があるんで、写真を撮りにいってきました。

 

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↑これは、ポートベロのあたりです。「In a world full of shame + regret, do something to be proud of」(恥と後悔に満ちた世界では、なにか誇りに思えることをやれ)。

 

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↑これは、リフィー川沿いをO2 シアターに向かって歩いている途中にあります。「The Liffey cuts the city like a meandering blue vein, ancient poetry echoes in soft rain down the lanes」(リフィー川が曲がりくねった青い血管のように街を分かち、古い詩が路地に降る柔らかい雨にこだまする)。

 

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↑これはバリマンのタワー・ブロック。「Concrete jungle mother farewell to your stairwell forever」(意味はちょっと不明)。

 

バブルのときに街の景観がすっかり変っちゃったから、ゆっくり生きてた頃のダブリンも思いだそうよ、ってことなのかな。でも、私なんかから見ると、ダブリンは昔の面影が残ってる場所がいっぱいありますけどね。

 

10 月 15 日から 17 日まで、うちの近所のスミスフィールド・スクエアで展示会が開かれるらしい。写真とかの売上は、ホームレスの人々を支援する団体に寄付されるそうだ。

 

They are Us のページ
 
 
ケビン・フィーニーさんの仕事 (デザインとかやってる人には参考になるかも)
 
アイリッシュ・タイムズ紙の記事

www.irishtimes.com