たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

タクシー運転手に間違えられた話

前回、原爆記念日のことを書いたのですが、それでちょっと思い出したこと。

 

もう何年も前のことですが、夜中に仕事が終わって車で帰ろうとしていた。ちょっとお腹が空いてたので、スパー (コンビニエンスストア) によってお菓子を買おうとした。たぶん、金曜日だったと思うのだけど、パブがちょうど終わる時間で (パブのラストオーダーは法律で決められてるので、パブは一斉に終わります)、お酒飲んで家に帰る人だか、ナイトクラブに河岸を変えるだかの人も結構スパーに溜まっていた。バブルの真っ只中だったので、タクシーもつかまえにくい頃でした。

 

で、私もバブルだったので、当時、けっこういい車に乗っていました。しかし、さえない格好した東洋人がいい車に乗ってて、夜の 12 時過ぎにコンビニでお菓子買ってる図っていうのは、どうみてもタクシー運転手なんです。

 

買い物済ませて店の前に止めた車に乗り込もうとすると、30 歳ぐらいの男の人が「乗れないー?」って言ってくるんです。「いやー、タクシー違うんですけど」というと、ちょっとがっかりした様子だったんですけど、「ブラックロックまでなんだけど。お金出すけど」って言うんで、私も暇だったし、別に悪い人じゃなさそうだったので、乗せてあげたんですね。反対方向だったんだけど。

 

それで、道中、いろいろ世間話をしてて、まあどこから来た、みたいな話になるわけです。その人は他に日本の話題がなかったからかもしれませんけど、いきなり原爆の話になって「あの原爆は許せんね。なんで日本はもっとアメリカに対して怒らないんだ」と結構強い口調で言い出しました。彼がほんとうにそう思っていたのか、車に乗せてもらったので日本人が喜びそうなことを言ってみたかったのかはわかりません。私はそれまでそんな風に考えたことがなかったので、何と答えたか記憶にないんですけど、ちょっとむにゃむにゃ言っただけだったと思います。それでその話題もそこで終わってしまって、車はブラックロックに到着し、特に断る理由もないので私は 5 ユーロもらいました。

 

その前に Fiat の中型セダンに乗ってたときも同じようなことがあって、そのときは信号待ちで止まってたんですけど、20 代の女の人が寄ってきて窓の外から何か合図してくるんです。私は何のことかわからないのできょとんとしてたと思うんですが、そうしたら、その人がいきなり後部座席に乗り込んできました。運転席の真後ろの席だったので、いきなりバールのようなもので殴られたらどうしようと一瞬思いましたがそんなことはなく、「○○へ行ってくれ」と。「タクシーと違うんですけど」と言うと、へっ、みたいなびっくりした顔してるので、やっぱりその時も私は暇だったから「送ってってあげてもいいですけど」と言うと、それはやっぱりまずいと思ったのか彼女は車を降りました。

 

もちろん、こちらのタクシーもルーフにサイン出して走るんですが、その頃はハックニーっていう別の種類のタクシー的な乗り物があって、それはサイン出してなかったんです。ハックニーは道でお客さんを拾うのは厳密には違法だったんですが、バブルの頃はほんとにタクシーがつかまりにくかったので、ハックニーを道でつかまえて交渉して乗せてもらうみたいな感じで間違えられたんじゃないかなと思います。

 

アイルランドだからかというとそうでもなくて、私は日本でも同じような体験をしたことがあります。やはり夜中に仕事が終わって横浜の繁華街の細い道を抜けて帰ろうとしていたら、若い女の人が車の前に立ちふさがるんです。車を止めたら、その人が助手席に乗り込んできました。まあロックしてない私も悪いんですが。

 

この女の人は相当酔っていました。で、家に帰りたいから鶴見まで行ってくれと。このときはそんなに暇ではなくて、次の日にアイルランド旅行に行くことになってたので早起きしないといけなかったんですが、私も若かったですし、何かいいことがあるかもしれないという思いもあり、家の方向もそんなに違っているわけでもなかったので、鶴見まで行きました。車の中で何をしゃべったかはまったく記憶にありません。というか、お酒のせいでまともな会話ができる状態じゃなかったと思います。

 

目的地に着くと、特にいいことは何も起こらず、女の人は 5000 円くらいだったかなー、ダッシュボードの上に置いて降りていきました。押し問答するのも面倒くさいのでお金は有り難くいただきましたけど。

 

こういうことって、結構よく起こることなんでしょうか。そうでないとしたら、私がよっぽど無害そうに見えるのでしょうか。そんなふうに無害そうに見えることは良いことなのか悪いことなのかちょっとわかりません。良いことなんだろうなー、たぶん。

 

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写真はアイルランド語のタクシーのサイン。「tacsai」ってケルト書体で書いてあります。英語でもアイルランド語でもどっちでもいいみたいなんだけど、アイルランド語の方が圧倒的に少数派です。