たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

アーノッツ

イメージ 1

 

えーと、まずはこの写真。ダブリンはやたらモニュメントとか銅像とかあるんですけど、写真の銅像はハーフペニー橋を南から北にわたったところにあります。たぶんモデルは無名の人。買い物に疲れた 2 人の女性がベンチに腰掛けて休んでいますの図。写真の下部に見えてるのはショッピング・バッグなんですけど、「Arnotts」って書いてあるのわかります?

 

アーノッツはダブリンにある百貨店です。イギリス資本のブラウン・トーマスなんかは洒落くさいイメージだけど、こちらは庶民派の代表です。ダブリンのアイコン的商業施設といっていいと思います。ザ・コミットメンツに出てきたクレリーズ (Clery’s) も有名だけど、存在感でいうとアーノッツの方が圧倒的。上の銅像もそうなんだけど、ダブリンでショッピングと言ったらアーノッツは外せないでしょう、というのはある。

 

先週の木曜あたりに友だちが遊びに来てくれて、世間話してたら、アーノッツがちょっと大変みたいと。確かに、前日のニュースでアーノッツとアングロ・アイリッシュ・バンクがどうたらとか言ってたんだけど、なんかまた景気の悪い話してるくらいに思って、あんまり気にとめてなかった。

 

GAA(ゲーリック・フットボールとかハーリングとか)のダブリン・チームの胸スポンサーをずっとやっていて、そういう意味でもダブリンの象徴だったんだけど、今年からはボーダフォンになってしまった。やっぱり経営苦しいっていうのがあったのかな。

 

イメージ 2

 

アーノッツの創業は 1843 年。キャノックさんとホワイトさんていう人が、ヘンリー・ストリートでお店を開いた。2 年後に店舗拡張のためにお金を借り、そのときに銀行家のリード兄弟が経営に加わった。その 3 年後にホワイトさんが亡くなり、スコットランド人のジョン・アーノッツさんが経営に参加。1865 年にキャノックさんが会社を去り、アーノッツさんが自分の名前をお店に冠してくれよと言いだし、リード兄弟が了承。「アーノッツ」が誕生する。ちょうどその頃、北アイルランド出身のアレックス・ネスビットさんが丁稚として入社。1909 年に彼はチェアマンにまで上り詰める。現在の社長で筆頭株主のリチャード・ネスビットさんは彼のひ孫だそうだ。

 

で、リチャードさんが、ダブリン市の中心部、リフィー側の北側のあたりの再開発を目論んで、土地を買いまくった。それが 2006 年あたり。バブルの末期。ケルティック・タイガーが終焉して、借金だけが残り、借金のカタに経営権を銀行に取られてしまった。それが先週の話です。

 

1 つの経営判断のミスで、160 年以上続いたお店の経営権があっけなく失われてしまう。怖いなー。でも、守ってばかりだとジリ貧になっちゃうし。経営って難しいですね。とりあえず営業は続けるみたいなんで、ダブリンっ子は一安心というところでしょうか

 

イメージ 3

 

景気の悪い話ばかりかっていうとそうでもなくて、うちの近所の Thomas Reid っていうパブがつぶれてそのままになってたんだけど、経営者がかわって Number 6 っていう名前で再オープンした。あとは、ホテルがつぶれたままになってるんだけど、ホテルはアイルランド中で部屋が過剰供給みたいなので厳しいかもしれない。