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クロスワードを作る人の死

アイリッシュ・タイムズ紙のクロスワード欄の問題を過去 67 年間作り続けていたデレク・クロージア (Derek Crozier) さんが亡くなりました。先日のグッドフライデーに彼にとって最後のクロスワード・パズルを作成していたとき病に襲われたのだそうです。92歳。同紙の寄稿者として最古参、そして最高齢でした。

 

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ニックネームは Crosaire。これはアイルランド語で十字路の意味で、かつては道路標識として国内のいたるところで見ることのできた単語だそうです。もちろん、彼の苗字と音が似ていること、それから「クロスワード」という言葉と掛けてあります。

 

彼の作るクロスワードは、ヒントが暗号のように難解で癖が強いことで有名だったそうです。ファンはその独創的なカギにイライラさせられながらも、中毒患者のように彼のパズルに引き寄せられていたようです。

 

非公式アイリッシュ・タイムズ Crosaire ブログ (www.crosaire.paxtent.com) を主催するカリフォルニア州在住のウイリアム・バトラーさんは、今でも頭を離れないカギがあるそうです。それは単なる文字の羅列: aknogoelr。答えは look back in anger。なんでこの回答が導きだされるのかわかった方は教えてください。

 

彼の死は「ひとつのアイルランド的制度 (Irish institution) の終焉」であるとする歌手で映像作家のネッド・ケリーさんは、「A Lone Star」というカギが心に残っているそうです。答えは「Greta Garbo」。なぜなら、彼女の有名なセリフで「I want to be alone」というのがあるからだそうです。これは映画好きの人だったらわかるのか。あとは、「Valo and lour」というカギ。答えは「Discretion」。理由は、「Valo と Lour 、そして Discretion も better parts of valour」だから。これもわからなかったんだけど、調べてみたら「Discretion is the better part of valour.」(勇気の大半は慎重さ) っていう言い回しから来ているみたい。Velo と lour は Valour っていう単語の部品 (parts) だから。

 

クロージアさんは、アイルランドの生まれなんだけど、1947 年にジンバブエ (当時はローデシア) に移住し、そこからアイルランドにパズルを送っていました。同国の郵便制度が信用できないので、ヨーロッパや南アフリカに行く友人や知り合いにパズルを託して投函してもらっていたそうです。もちろん、なんらかの事情で遅れることも考えられますので、必ず 1 年先の分までのパズルが新聞社に届いているようにしていたとのこと。

 

電話や FAX で読者が回答を得られるようにしたところ、クロージアさんはいい顔をしなかったらしい。だから、今では携帯電話のテキストメッセージで回答を得られるようになっているのですけど、編集者はそれについては彼に伝えないままになってしまったそうです。

 

ほかにも、いろいろと面白いエピソードはあるのですが、読みたい方は同紙の記事をごらんください (英語)。
http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0408/1224267895219.html
http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0408/1224267895241.html

 

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えーと、私は自営業なんですが、いちおう会社組織になっていて、会社の名前に Japan って入ってます。それで、電話帳にも載ってます。

 

で、クロスワード・パズルを解いている見知らぬ人から電話を頂いたことが 2 回ほどあります。日本関連のカギだったので、日本について知ってそうなところに電話をかけてきたわけです。1 回はたぶん忙しかったので丁寧にお断りしたのですが、もう 1 回はヒマだったので、カギを聞いたあと、いったん電話を切って調べて差し上げたことがあります。

 

カギは「日本の陶芸の一種」。4 文字。そのうち 2 文字はわかってました。正確には忘れたけど、最初の文字が R で、最後の文字が U とかそんな感じです。

 

わかります?

 

正解は RAKU。楽焼きのことらしいです。折り返し電話を差し上げたのですが、パズルに熱中しすぎていたのか、けっこう素っ気なく Thank you と言われた記憶がある。まあいいけど。

 

今日の新聞の読者からのお便り欄にも、彼の死を悼む声が寄せられています。その中のひとりが素晴らしい提案をしています。「彼の作り置きのパズルを使い切ってしまった後、私たちはどうすればいいでしょうか。提案があります。彼のパズルをもう一度最初から掲載し直すのです。そうすれば、あと 67 年間は安心であります」。