Samson & Delilah
2009 年、オーストラリア
監督: Warwick Thornton
出演: Rowan McNamara, Marissa Gibson
2009 年、オーストラリア
監督: Warwick Thornton
出演: Rowan McNamara, Marissa Gibson
(ネタばれします)
2009 年のカンヌ映画祭で新人監督賞を取った「サムソンとデリラ」を観ました。アボリジニーの少年と少女を主人公にした映画で、監督さんもアボリジニーの出自です。
これねー、もう前半のダラダラ感、そしてそれでも映画として成立しちゃうっていうのは、欧米のドラマのつくり方じゃないですね。思い切って言いますと、小津っぽいです。
正直、前半は日本映画を見てるようでした。少年は言葉をしゃべるのが困難なこともあってほとんどしゃべらない。だらだらしてる。下のインタビューでも言及されてるけど、心を通わせるきっかけに石を投げちゃうシーンとか。言葉はほとんど、ない。
この間観た、横浜聡子監督の「ウルトラ・ミラクル・ラブ・ストーリー」のことを思い出していました。社会的に機能するかしないかの境界線で彷徨ってる少年としっかり者の少女。少年は、境界線のこっち側に留まろうとして、必死で少女に助けを求めるんですね。
交通事故に遭った少女が光の中から現れたところでは、少女が死後の世界から少年を迎えにやってきて、それで終わっちゃうのかと思ったんですが、そうじゃなくてよかった。
少女は事故を生き延びて、松葉杖をついて少年の兄貴といっしょに現実に少年を迎えにきたのでした。
最後はハッピーエンドじゃないけど、かすかな希望を感じさせる終わり方になってます。下のリンクにあるインタビューで監督も語ってますけど、「最後に希望があることが重要だった。2人の主人公が脚本の続きを書き継いでいく。まるで、『おれたちを殺して終わりにしようとか思うなよ。ここまでこんだけ頑張ってきたんだから』とでも言うように」。
去年だったか、友達に借りて、結構話題になった日本のミステリ小説を読みました。プロットとかよく練ってあって面白いと思ったんだけど、最後が破滅的な終わり方をする。それで、私は後味が悪いっていうのを通り越して、相当がっかりしてしまいました。その終わり方じゃあ、クリエーターとして社会に対して無責任にすぎるだろーってことで。
この映画はとてもおもしろかったです。時間があったら見てください。
ワーウィック・ソーントン監督のインタビュー (英語)
http://blogs.crikey.com.au/cinetology/2009/05/12/interview-with-warwick-thornton-writerdirector-of-samson-delilah/
http://blogs.crikey.com.au/cinetology/2009/05/12/interview-with-warwick-thornton-writerdirector-of-samson-delilah/